医師は自分に向き合う機会がない
このように医師の取り巻く環境は激変しており、自分でキャリアを選択する必要性が高まっているのですが、そもそも医師は医学生時代を含め、自分と向き合う機会というのが限られるのです。
弊社は、医学生向けの勉強会やセミナーを主宰していますが、セミナー終了以後に「これまでに自分のキャリアについて考える機会はありましたか?」という質問をアンケートの中に含めております。これまで7~8回実施していますが、「あった」と回答された方はほとんどいませんでした。
われわれのイベントに来ていただく医学生は首都圏中心となっており、全国の医大生すべてに聞いたわけではありませんが、少なくとも首都圏内の医学部において、医学生に対してキャリア教育やその支援を行っているところは皆無です。
医学部というのは非常に閉鎖性が高いのです。体育会に属しほかのいろいろな医科大学と交流をする団体に属しておれば、大学の外にさまざまな友人を持つことができますが、そのような団体に属していなければ、ほかの大学生と交流をする機会がない。また、医学生というのは授業や実験で忙しいことが多く、6年間、狭いコミュニテイで限られた人としか交流しない。自分がどういう仕事に適しているか、どのような将来のビジョンを描けるのかということを、外の世界に触れて考える機会というのが、ほかの学部生に比べて非常に少ないのです。医学部を卒業して研修医になれば、それこそ息もつけないくらい忙しい生活が待っており、外の世界に触れるのがさらに難しくなります。大切な医学部時代に自分に向き合う機会を作れていないというのは、非常に残念なことだと言えます。
医学部ではキャリアを教えない
一般の大学生は今や当然のごとく、キャリア教育のカリキュラムが年間スケジュールの中に組まれています。私もある大学のキャリアセンターの方とお話した際、その充実度に圧倒された記憶があります。その大学は1年生、2年生の段階から自己分析や業界研究、適性検査やコミュニケーションスキルの講義などがあり、3年生でインターンシップ体験や自己PRの仕方、エントリーシートの作成、模擬面接など、就職対策を含めてさまざまなプログラムが用意されています。
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