医者から外資金融・コンサルへの転職が急増

敷かれていた医療キャリアからの転出

グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。
激務を強いられる医師。ただ、その実態をしると、決してうらやましい生活とはいえない(撮影:今井康一) ※写真は本文と直接関係ありません。

空気麻酔にマウスを放り込み、気絶したマウスの頭部をはさみでチョキン。続いてサルの脳髄をすりつぶし、シャーレに入れて栄養素を与えたりもする。軽く昼食をとった後、献体されたホルマリン漬けの人体を、数ヶ月かけて隅々まで解剖する。数千回に上る地味で単調な実験の後、“細胞が成長する薬を発見する”のが6年間で最大の喜びであった。

米国東部の名門女子大学、ウェルズリー大学で生物化学を学んだ雅子(仮名)は、オルブライト、ヒラリーを輩出したハーバード女子大とも称される東部の名門大学で学部時代を過ごす。

議員、バンカーを父に持つ同級生は皆、ウォールストリートを目指した。しかし当時、生物化学を研究する雅子は、同級生と異なり、医療分野でのキャリアに興味を強く抱いていた。

スタンフォード、ハーバード医学部の途方も無い授業料を払う気がしない彼女は、日本人であることの利点を生かし(日本の国立大学の医学部は学費が極端に安い)、日本へ帰国。国立の医学部生としてキャンパスライフをすごすことにした。

ところが雅子が出会った日本の医学部の実態は、自身が狭いと感じたウェルズリーに輪を掛けて狭小な、“リスクをとらない同質学生”の集団であった。6年に及ぶ医療研修と、これまた地味な将棋サークルでの生活が過ぎた今、雅子がレジュメを送るのは、慈恵医大でも慶応病院でもなく、外資系戦略コンサルファームであった。

次ページ医者を志す根拠が薄弱
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • 今見るべきネット配信番組
  • 「お金で損しない」森永康平のマネーリテラシー講座
トレンドライブラリーAD
人気の動画
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
アメリカの若者の心つかむ中国アパレル「SHIEN」の正体
アメリカの若者の心つかむ中国アパレル「SHIEN」の正体
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT