医者から外資金融・コンサルへの転職が急増 敷かれていた医療キャリアからの転出

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最後に:6年にわたる医療業界への投資を活かすために

今回、多くの医師、弁護士、会計士をインタビューして再認識したのだが、雅子のように、6年にわたる勉強への投資と、得がたき伝統的職業のキャリアを放棄するのは大変勇気のいることである。放棄した機会費用が非常に高いだけに、雅子にはこの決断から高いリターンを得てもらいたい。

「経済や経営を学んだことがないから面接で何を言っていいかわからなくて……」などと受験勉強根性丸出しの相談をされることも多いが、トップティアの大学の医学部の人は地頭のよいポテンシャル人材として好意的に見てもらえるので、愛想よく礼儀正しく普通のコミュニケーションさえできて20代ならば、面接の遡上に十分上がれるので頑張ってほしい。

ビジネスに転出するにしても医師としての経験が活かせる領域は多い。私の経験を振り返えっても、資産運用会社のアナリストなどでも、医療セクターの担当者はハーバードの医学部のドクターだったりした。新薬の可能性の判断云々は、医療バックグラウンドがなければ金融畑の我々にはさっぱりな分野なのである。

また最近は医者ではなく産業医という分野で独立し、ハーバードでMPAを取って大阪で独立して活躍している友人もいる。ちなみに産業医という分野は今成長産業で、社員の方の医療コストを会社が負担するより社員全体の健康管理を政策的に行うことで社員の健康を保ち、病気を予防し、コストを削減しようという試みである。

この分野に関心のある会社の方々もぜひこちらまでご連絡願いたい。私が日本でもトップティアの産業医(某国立大学医学部を出て、大学病院に勤務し、ハーバードでマスターとって独立)に紹介させていただく所存である。私は彼の嫁さんから先日、1万円くらいする胃薬の漢方薬をもらい、恩を返さなければならない立場ので、個人的な事情で恐縮だがぜひとも、“高い漢方薬の恩返し”にご協力いただきたい。

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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