医師がキャリアに迷うようになった背景とは?
今、われわれの元には医学生から研修医、はたまた中堅の医師までいろいろな方のキャリア相談が舞い込んできます。数としてはまだまだ少ないですが、それでもその件数は年々上昇し、皆さんがキャリアに悩んでいる実態がわかります。昔は今後の人生に対して迷う医師はそれほどいなかったと思いますが、なぜ、今になりそのような悩みを抱えるようになったのか、まずは以下にその背景をいくつかお伝えします。
1キャリア選択の機会が増えた
今までこのコラムでお話してきたように、医師の働き方や生き方はさまざまな選択ができるようになってきています。一昔前であれば医局に在籍し、上の先生の言うとおりにしていけば、それが最終的な医師の生き方ということになっていましたが、2004年度の初期臨床研修必修化以降に、その選択機会は一気に広がりました。
上図のように、2003年以前は医学部卒業後、大学医局に入るのが医師の一般的なキャリアパスで、その後は教授や医局長の方針で勤務先を与えられてきました。そこには医師自身の意思決定というものがなかったのです。あるとすれば医局に一定期間在籍し、その後、開業するか否かを決める選択くらいでした。
しかしながら2004年以降は、医学部を卒業したらその後の人生は自分で決定することが必須となり、初期研修先の選択、後期研修先の選択、その後の勤務先の選択といったように、何度も自分の進路の選択をしなければならないようになったのです。
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