夢だけでは食えない?”漂流ドクター”の悩み キャリアモデル不在に医師はどう生きる?

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さて、前回のコラムでは「医師のキャリア教育」にスポットを当てて話をしましたが、今回からは3回にわたり、現場の医師がどのような悩みを持ち、人生を歩んでいるか。

私がキャリア相談を受けた例から、その苦悩などをお話したいと思います。

先日のコラムでもお話したとおり、昔に比べて医師は自分でキャリアを選択しなければならない時代となりました。そのためキャリアについて考える機会は、知らず知らずの間に増えています。

医師の中でも皆さんが知っているような有名人のキャリアというのは、いろいろなところで取り上げられているので、ご存じの方も多いと思います。ですがいわゆる“一般的な医師”はどのようなキャリアをたどり、どういった悩みがあるのかは知らないのではないでしょうか?

弊社は、人よりもキャリアアップ願望が高い医師(海外留学したい、最新の医療技術を学びたい、経営の第一線で働きたいといった希望を持つ)の登録はそれほどありません。一般のビジネスパーソンと同様、「仕事が忙しく、ちょっと疲れた」「上司とウマが合わない」「今の病院の条件が悪いので、もう少しいい条件のところで働きたい」といった医師からの相談が多いです。

そういった“フツー”の医師がどのようなことに悩みながら、人生を送っているのでしょうか?

今回ご紹介するのは次のようなケースの医師です。

ケース①
石川誠医師(仮名)
年齢:29歳(男性)
出身大学:首都圏の私立大学
希望科目:脳神経外科

(相談内容)

現在、後期研修の1年目。父が脳神経外科のクリニックを開業しており、いずれそれを継ごうと思っています。初期研修は出身の大学(首都圏の私立大学)でしたが、後期研修は父の地元で行い、クリニックの手伝いをしながら腕を磨きたいと思っていました。
ですが、現在の研修がハードすぎるように感じています。脳神経外科の手術は好きで自分も合っていると思いますが、同僚や先輩の働き方を見ていると、自分はもしかしたら脳神経外科に向いていないのではないかと思うようになってきました。
現在、後期研修の1年目で後期研修期間はあと3年ほど続き、専門医の資格は取りたいですが、このままでは長続きできそうに思えません。脳神経外科はどの病院も大学医局の影響が強く、途中で簡単には変われないため、出身の大学で受け入れてもらうようにお願いするか、それとももう少し楽に勤務できる診療科で研修を受けるかを迷っています。
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