夢だけでは食えない?”漂流ドクター”の悩み キャリアモデル不在に医師はどう生きる?

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外科系はかなりハード

今回のケースは主に男性医師に多い悩みです。

そもそも医師になったきっかけが、周りの影響(親からの勧めやマンガ、ドラマ)などで、そこでは外科系医師がかっこよく見え、自分もそれを目指して医師になったという経緯があります。

一見、いたって健全な理由に思えますが、そこには自分の適性や価値観というものが入っていません。小学生が野球選手やサッカー選手にあこがれるのと似ているかもしれませんね。大学においても病院実習や科目別の講義があり、自分の興味のある診療科目の先生に会って話を聞いたりすることはありますが、医学部の教授というのは基本的にいいことしか言いません。

「緊急の呼び出しもあり忙しいけど、その分、やりがいがある科だよ」

「脳卒中患者は今後、倍増する見込みがある。ぜひ君の力を借りたい」

「手術や外来のない日はしっかりと休める」

もちろん、ウソは言っていないと思いますが、裏を返せば、慢性的に忙しく、なかなか休みにくいということです。実際その科で研修すると想像以上の厳しさが待っています。脳神経外科の場合、脳卒中で倒れた患者が夜間に運ばれてきたりするとそこで緊急手術が必要となることもある。脳は心臓と同じでその処置には1分1秒を争いますから、いつでも気が抜けない状況になるのです。

ましてや研修医の身となると、右も左もわからない中、指導医でさえ必死な状況で自分の技術や技量を学んでいかなければなりません。

そのようなことに耐えられる覚悟を持って脳神経外科を選んだのか、ということが大切で、もしそのあたりの意識がなかったのであれば、それは勉強不足といえるかもしれないですし、それができると思っていて、結果的にできなかったということであれば、自己理解が不十分だったと言えるのではないかと思います。

やりたいこととできることは違う

もちろん石川医師だって、親が脳神経外科医であり、大学のときや初期研修中も脳神経外科医の仕事は知っていたはずです。

現に研修期間中に手術の手伝いを経験し、とても面白いし自分に合っていると思ったということですし、先輩医師にもあこがれたということでした。しかしながら石川医師の人生の価値観と照らし合わせた場合、脳神経外科医として働くのは難しい問題があったのですね。

それは勤務と同様(もしくはそれ以上に)家族との時間や自分のプライベートというものを非常に重要視しているということ。とあるアセスメントツールを使ったところ、そのような価値観が際立って大きいことがわかりました。

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