日本の伝統精神は独断専行を認めていない 松下幸之助が語った日本人の本質

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幸之助の成功のための思考法とは(撮影:高橋孫一郎)
江口克彦氏の『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営の奥義について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げるヒットになった。本連載は、この『経営秘伝』に加筆をしたもの。「経営の神様」が問わず語りに語るキーワードは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

日本の風景は美しい

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あそこに、池のなかの島に石塔が立っておるけど、あれは相当に古いんやで。1200〜1300年前の奈良時代のものらしいな。

一番下の石のところに、四方に仏さんが彫ってあるけど、もう風化してしまって、ようわからんけど、やっぱりなにか雰囲気というものがあるから不思議やな。

向こうの築山の右のところにも、もうひとつ在る。あれは新しそうやな。うん?江戸時代のもんか?あれはぜんぜん傷んではおらんわね。最初はああいうもんもお墓であったんやろうけど、だんだんと庭の景色に取り入れられて、こうして飾り物になっておるんやろうけど、そういう考え方の変化が面白いわね。

きみ、あの島に渡ったことあるか。わし、あるよ。随分とせまいもんやから、池の水がすぐ足もとにきてる感じやな。ああいう小さな島をあそこにつくるというのも、この庭をつくった庭師さんのセンスというもんやろうけど、まさに全体の景色にぴったり当てはまっておる、という感じや。小川治兵衛さんという人は、さすが庭作りの名人といわれた人だけのことはあるわな。

もうそろそろ帰らんといかんな。5時過ぎたか。植木屋さんたちも片付けをはじめとるね。

夕方の景色もきれいや。四季折々の変化、1日の変化、それぞれにええけど、とにかくこの庭だけでなく日本の風景は美しいわね。景色もいいし、まあ、国柄もいい、国民もすばらしい。しみじみ日本に生まれたことの幸せを感ずるね。キミ、そう思わんか。そやろ、そう思うやろ。

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