うん、かまへんよ、別に用事はない。一日、きみと話ししようと思っておるんや。
それにしても、ほんまにええ庭やな。ゆっくりした気分になれるな。これからだんだん暑くなるけど、いまの頃がちょうどいい。少し風もあるしね。植木屋さんたちも、熱心にやってくれてるなあ。
京都には、いい庭がたくさんあるけど、ここもそのひとつやな。特に道に柵をつけておらん。公開しておらんからね、そんなことをする必要がないからやけど、そのぶん、ほかの有名なところより、庭本来の姿になっておるな。秋の頃はお月さんが、ちょうどあの東山の上から出てきて、庭のその池に映るんやけど、まことに風情があって、面白いな。秋になったらまたお月さん、見に来ようか。
経営を進める時に考えなくてはならないこと
経営を進める時に、考えておかんといかんことはな、目に見える要因と、目に見えない要因を、両方とも考えんといかんということやね。
経営を考える時に、一般的に、まず考えるのは、目に見えることやな。大抵の経営者や責任者の人がそうや。目に見える要因というのは、たとえば商品とか技術とか、あるいは工場とかベルトコンベヤーとか、そういうもんやな。組織とか体制なんかもそうやな。とにかくそういうものは目に見える。そうそう、数字もそうやな。
経営をよくしていこう、経営を改善していこうとすると、たいがいは、この目に見える要因に心奪われる。それで組織を変えよう、体制を変えよう、新しい技術によって新製品を開発しようとこう考え、社内を動かし、社員に努力するように指示を与える。
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