松下幸之助「経営者は遊んではいけない」

経営の神様が問わず語りに語ったこと

ほんまの情熱、素直な熱意を、わがからだのなかに持っておるのかどうか、社長たる人は考えてみる必要がある
江口克彦氏の『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営の奥義について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げるヒットになった。本連載は、この『経営秘伝』に加筆をしたもの。「経営の神様」が問わず語りに語るキーワードは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

最高指導者くらいは、先憂後楽の心掛けで

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経営者はいったん経営者になったら、遊ぶようではあかんな。本来、経営者が心を許して遊ぶというようなことをしてはだめや。社員の人が遊んでおっても働いておるとか、たとえ遊んでいても、頭のなかでは仕事のことを考えておるとか、そういうことでないとな。

そういうことでは身がもたん、という人もあるかもしれんが、たとえそれで命を落としたとしても、それは大将としての本望や。そういうことが、かなわんかったら、経営者になるべきではない。

ひとつの会社のなかで、全部が全部、みんながみんな、心を許して遊んではならんとは言わんけれど、少なくとも、会社の最高の指導者になった人たちは、そういう覚悟というものがいるわな。それを、一般の従業員と同じように遊びに行きます、休みをとります、そんなことを言っとったら、どうもならんがな。

せめて、ひとつの組織の最高指導者の人ぐらいは、先憂後楽の心掛けで、その会社の将来に命を懸けるほどの思いがなければ、経営はうまくいかんね。みんながみんな、上から下まで遊びとか休みとか、そんなことを考えておって、なおかつうまくいく、経営が成功するなどということは、本来有り得ないことや。経営というものは、そんな簡単なもんではないわ。

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