日本企業が強いリーダーを育てられない理由 納得する人選と育成プロセスを確立せよ

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戦略的に育てなければ強いリーダーは生まれません(写真:Rawpixel / PIXTA)

2015年は、非道なテロに代表される大きな事件が頻発し、世界はまさに VUCA (Volatility=不安定、Uncertainty=不確実、Complexity=複雑、Ambiguity=曖昧模糊)といわれる状態を実感した1年になりましたが、こうした状況にあっても、企業は立ち止まってはいられません。果敢に攻めの一手を講じ、成長に向けた変革、イノベーションを起こさなければ、これからの時代には勝ち残れません。

こうした厳しいサバイバルの中においても、経営者がワクワクとした気持ちでいられるか、それとも不安でいっぱいな気持ちになるかの分かれ目は、何といっても社内の人材がたくましく育っているという実感次第でしょう。

リーダー人材が枯渇している

しかし、実際に多く聞こえてくるのは、「経営を任せられるリーダーが足りない」という声です。たとえば近年、LIXIL、カルビー、資生堂、ベネッセホールディングスなど、歴史ある日本の大手企業が、社外から「プロ経営者」をCEOに招く例が続いています。「社長とは、社員の総代表」という見方が根強かった過去からすると、隔世の感があります。ビジネスがグローバル化し、グローバルに通用する強いリーダーが求められているからこそ、社外から経営のプロを招いているのです。

このことは、裏を返せば、自社内で強いリーダーを育てることができなかったという証拠であるともいえます。

なぜリーダーが不足するのでしょうか? その理由は、2つあります。まずは、バブル崩壊以降に日本企業が守勢に回らざるをえなかったことです。

日本企業は失われた20年、さらにリーマンショックのダメージから抜け出す中で、筋肉質の組織を作り終え、グローバル成長の種をまき、業績を回復させてきました。このプロセスを守りと攻めに分けて見ると、守りが8割、攻めは2割ぐらいでしょうか。しかも攻めに転じたのは最近のことです。つまり、守りを固めてきた時代が長すぎて、リーダーが育っていないのです。

もう1つの理由は今の経営陣が、これまでの業績を回復させたやり方にある意味で満足し、その結果、経営陣自身がそれを変える、あるいは超える新しいリーダーを本気で育ててこなかったことでしょう。

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