日本企業が強いリーダーを育てられない理由 納得する人選と育成プロセスを確立せよ
現場を切り盛りしている女性社員は、日頃から実質的にリーダーシップを発揮しているのですが、会社からの期待をストレートに伝えることが、彼女たちをある種の呪縛から解放することになり、職場のパフォーマンス向上にも直結するのです。
日本企業の弱さは、昇格スピードの遅さ
グローバルメジャー企業と比較し、明らかに日本企業が弱いと言われている点、それは昇格スピードの遅さです。海外のメジャー企業では、30歳でマネジャー、40歳までには事業責任者というスピード感は、トップタレントにとってみれば当たりまえのキャリア感覚です。たとえばGEのオフィサー就任までのスピードは最短で11年、平均でも20年程度だそうです。
LIXILの藤森CEOも、39歳でグローバル医療ビジネスのゼネラルマネージャーに就任しています。それも、入社2年目に参加した長期間の研修で幹部に見いだされ、翌年このアサインメントが決まったそうです。日商岩井から転職してわずか4年というスピード感です。私たちは、このようなリーダーのパイプラインをもっている企業と、競争をしなければならないのです。そうした状況に対応するためには、人材のファスト・トラック(早期の選抜、抜擢による特別ルート)の構築が重要になります。
さらにアジア、中国など新興国の成長市場では、各リージョンのファスト・トラックづくりを急ぐべきです。日本本社のグローバルリーダー育成の枠組みを活用するだけでは、各地域に割り当てられる対象人数や、頻度、言語の壁などの制約があり、現地の競争のスピード感に対応しきれません。日本企業もこれ以上後れを取ることは許されない、というところまで来ています。
リーダーを本気で育てようと思った時、経営者がみずからハンズオンで時間を割き、直接かかわることが何よりも大切である一方で、全社的な枠組みやプロセスを創ることも大変重要です。すぐに完璧にやろうと思わずに、できるものから始める。自らがやってみて、反応を確認することで次のアクションを講じていく。そんなスタートが新年に切れれば、今、次代のリーダーを憂いでいる経営者の心は年末にはもっと心軽くなっているはずです。
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