新しい商品を作りたい、そうほんまに考えるんやったら、他人に素直に教えを請う、尋ねる、訊く、指導を仰ぐ、謙虚に耳を傾けるということも出来るわな。経営のやり方、進め方も、どうしたら一番うまくいく方法なのか、その方法も考え出されてくる。
だから、経営がうまくいかん、どうも発展しないということであれば、翻(ひるがえ)って、ほんまの情熱、素直な熱意を、わがからだのなかに持っておるのかどうか、社長たる人は考えてみる必要があるな。熱心にやっておりますと言うけど、それが、ほんまもんかどうか、そこに尽きるわな。そやろ、商売を成功させたい、経営をうまく発展させたいという、燃えるような情熱があれば、おのずとそのときどきにおける成功の知恵が見つかるもんや。
正しい情熱があるかどうかで判断してきた
わしは人材を起用するときに、原則としては、その人のいろいろな能力よりも、その人に熱意があるかどうか、からだにみなぎるほどの、正しい情熱があるかどうかを、見て判断してきたな。そして大抵の場合、成功したな。
能力なんていうのは、だれでも大概は、そう差があるもんではない。だれでも同じようなもんや。だから人を起用するときに、能力からすれば、だいたい60点ぐらいもあれば、十分やね。あとは、その人の情熱でいくらでも伸びる。それが、能力はあるけれども熱意がない、熱意が不十分だということになれば、そういう人を、いくら起用してもだめやな。
それにな、熱心に社長がやっておる、朝も晩も、ときには休みの日も、身を粉にして社長が仕事に取り組んでおれば、従業員諸君も、ああ、うちの社長は、えらい熱心に一生懸命に仕事に取り組んでいる、情熱をもって、この会社のこと、われわれのことを考えてやってくれておる、ということになる。そうなれば、社員の人たちも、それでは社長、私たちも、熱意をさらに持って、私たちの仕事に取り組みましょう、ともどもに会社を発展させましょうということになる。社長が熱心な姿を見せれば社員の人たちも熱心になる。大将が進軍する先頭に立って、懸命な姿を部下に見せておれば、部下も大将と同じような気分になって、戦(いくさ)に臨むということになる。
けど、先頭は行くけど、馬上で大将がコックリ、コックリ居眠りしとる、居眠りまでせんでも、本当の熱心さが感じられないようでは、部下も、緊張してピーンとはりつめる気分というものは出せんわな。居眠りしとるのは、後ろからでもようわかる。本当の熱意がないというのも、ようわかる。熱意があれば、必ず事業は成功するな。けど、尋常一様な熱意ではあかんで。きっとこの会社を発展させよう、自分の命を賭(か)けて、発展させようという、からだごとの、正しい熱意でないとな。そういう社長でないと、会社は発展しないということやね。
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