松下幸之助は、3時間ぶっ続けで叱り続けた

怒り続ける松下を見て沸き上がる感動

松下の言動には、人間は尊い存在である、という前提があった(撮影:高橋孫一郎)

「きみ、いまから来いや!」

松下幸之助からの電話である。もう夕方、とうに5時を回っている。声の調子からあまりご機嫌がよくないことがわかった。これはどうもよくないようだ。とにかくすぐに参上しよう、しなければならない。しかし、何かあったのか。何を叱られるのだろうかと、いささか動揺しながら思いを巡らす。

機嫌の悪いときに、ぐずぐずしていては松下をいっそうイライラさせ、怒りを倍加させるようなものだ。すぐ行くのが叱られるときのコツだと、いつのまにか知恵も身についている。とるものもとりあえず、車に飛び乗った。

部屋の扉を開けて入ると、松下はソファに座っていた。そして、そういうご機嫌の悪いときはたいてい新聞を大きく広げて読んでいた。

「きみは何を考えて仕事をしとるんや」

この連載の過去記事はこちら

「こんばんは、遅くなってすみません」と恐る恐る言う私を、いつもの笑顔をまったく見せず、厳しい顔で眉間にしわを寄せ、下からキッと睨み上げながら、「きみは何を考えて仕事をしとるんや。これは何や」ときつい調子で尋ねた。

いつもなら横の椅子に何も言われなくとも座りこみ、やがて一緒に食事をする私であったが、こういう強い口調で切り出されると、座るわけにもいかない。立ったままで叱責を受けることになる。当然、食事も出てこない。激怒しているのだ。厳しい言葉が次々に出てくる。

次ページ執拗に叱り続ける松下
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナウイルスの恐怖
  • 就職四季報プラスワン
  • 若者のための経済学
  • 今日も香港から
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
新型肺炎の「致死率」<br>武漢だけ突出する理由

新型肺炎による死亡者は、湖北省、とくに武漢に集中しており、致死率は他の省を圧倒しています。この理由と背景は? 本誌デジタル版では、現地から果敢な報道を続ける中国「財新」特約の連載「疫病都市」を配信しています。