松下幸之助が「生きた情報」を集められた理由

時間がないから帰れとは絶対に言わなかった

部下が提案を持ちこんだ際、松下幸之助は真剣に耳を傾けた(撮影:高橋孫一郎)

「部下の話を聞くときに、心掛けないといかんことは、部下の話の内容を評価して良いとか悪いとか言ったらあかん、ということやな。部下が責任者と話をする、提案を持ってきてくれる、その誠意と努力と勇気を褒めんといかん」

私も社会的な問題から世間話まで、松下幸之助からさまざまなことを尋ねられた。ときには会社の人事に関わる問題にまで話が及んだ。そのようなとき、私がどんな答え方をしても、松下は一度も「それはつまらない」とか「自分も考えていた」とは言わなかった。

どんなことを言っても、「うーん、なかなかいい考え方しとるなあ」「いい意見やな」「そういう考え方もできるな」「きみの話は面白いな」と、感心した様子を示した。また、部下が報告に来たとき、松下は忙しいときでも「今、時間がないから帰れ」とは絶対に言わなかった。

部下がどんどん情報を持ってくる

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松下はいつもいたく感心した様子で褒める。褒められた部下は喜び、これからどんな情報でも松下に持っていこうと心に決める。自分が話を聞きたいのだという姿勢を見せれば、部下はどんどん情報を持って来てくれる。松下は、そうしてたくさんの情報を手にいれていた。

部下からすれば、緊張の瞬間である。そのとき「きみの話はつまらん」とか、「そういうことは以前やって無駄であった」とか、「もうそんな話ならわかっているから、聞かなくていい」と言われたら、どう思うだろうか。部下はそのような上司のところに二度と情報を持っていこうとは思うまい。部下の話を聞かない責任者は、それだけで責任者として失格である。

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