松下幸之助が「部下の話」に耳を傾けたワケ 知らないことを尋ねる経営者は尊敬される

✎ 1〜 ✎ 29 ✎ 30 ✎ 31 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
松下幸之助は頻繁に部下にものを尋ねていた。その背景には何があるのだろうか(撮影:高橋孫一郎)

「ところで、きみ、部下の話に耳を傾けるということは大切やで。部下の話を聞くと、えらい得するよ」

確かに松下幸之助は実によく部下にものを尋ねていた。必ず前傾の姿勢になり、相手の目を見てうなずき、部下に話をさせる。そして自分のわからないことについては、ためらいなく尋ねた。その簡単なことが、実に絶大な効果を発揮する。

頼りにされる喜び

この連載の過去記事はこちら

まず第1に、部下がやる気を出すのである。

つねに上の人からものを尋ねられる、あるいは聞いてもらえるということになれば、この人は自分のことを信頼してくれているんだな、と思うようになる。急に尋ねられれば、うまく答えられないことも多い。それにもかかわらず、何度も尋ねてくれる。それならば、多少はましな話をしよう、聞かれる前に少し勉強しておこうか、ということになる。

あるいはたまたま、うまく答えられる時がある。上司がとても褒めてくれる。自分の意見が取り入れられる。そうなれば、やはり嬉しい。ますますやる気になる。やる気になるから、ますます勉強する。一生懸命勉強したあとの意見を聞いてもらえる。自然と、ますます信頼され、頼りにされるようになる。信頼される喜び、感動というのは、人間にとってまことに特別なものである。

部下に勉強せよと言うのも大事なことである。しかし、もっと肝心なのは、部下自身が自分から勉強しようという気持ちにさせることである。そのためには、部下にものを尋ねること、話を聞くこと、部下に進んで提案をさせることがいちばんいいやり方である。部下にものを尋ねると、部下がやる気を出す。勉強するようになる。

次ページ情報を集めることができる
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事