2番目に、情報を集めることができる。
特に今日のような情報化の時代になると、いかにいい情報を集めるかということが重要である。情報収集には、自ら足を運んで話を聞くということが大切だが、いちばんいい方法は動かずして情報が集まってくることである。
何度もものを尋ねていると、しまいには部下が「こんな話がありました」「こんなアイデアはどうでしょう」と、自分から情報を持ってきてくれるようになる。やる気になって、勉強したあとの情報を聞かせてくれるのだから、こんなに得なことはない。松下幸之助が病気がちで、ときには寝室から出られないことも多かったにもかかわらず、あれだけの巨大な企業を運営できたのは、情報がどんどん集まってきたからである。その情報源は数百人、数千人に達したと思う。
人にものを尋ねると尊敬される
そして3番目に、人にものを尋ねると、多くの人たちは自分が馬鹿にされるのではないかと心配してしまうが、実はそうではなく、けっきょく尊敬されるのである。
これは非常に面白い真実だと思う。理路整然と部下を説得すれば、本人は気分がいいかもしれないが、言われるほうはウンザリして心が離れてしまうものである。松下幸之助を見ていると、人にものを尋ねてますます敬意を表され尊敬された。この法則は知っておいたほうがいい。
「話を聞くというのは、経営者としてこんな得な、ええやり方はないわな、早い話」
それなのに私たちは、つい部下に賢いところを見せようとしてしまう。偉そうにしてしまう。だが、経営者にとっていちばん大切なことは、いばることではない。部下に優越感を持つことではない。会社を発展させる道を見つけだすことである。
非常に熱心で頭もよく、当然成功すべきであるような人が、案外成功していないことがある。その人たちをよく見てみると、成功しない共通の原因がある。熱心で意思力もあるのはいいのだが、ただひとついけないのは、自分の能力があるがためにほかの意見を用いないことである。
しかし、人の知恵を借りずに、自分でなんでも考えて結論を出し、それで成功し続けるという人はまずいない。人間ひとりの知恵には限度がある。そんな限度ある知恵で無数の課題を持つ経営をしようとしたら、うまくいくわけがない。
それよりも部下にものを尋ねれば、ごく自然に衆知を集めることができる、知恵を集めることができる、情報を集めることが出来るのである。
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