松下幸之助「2代目はとにかく謙虚であれ」 経営の神様が語ったこと

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徳川幕府が300年も続いたと。それはな、2代目の秀忠がことあるごとに、ご神君は、家康公はこういうことを言うておられた、こういう考え方であったと言い、あとに続いた将軍たちもそれに倣って、同じようにご神君は、家康公はと言うたからや。権威の活用がいかに有効かということやな。

そういうことによってまた、ひとつの組織の中心が動かん、座標軸が動かんということになるわね。つねに同じところから出発できるから、組織全体が動揺せんということもできるわけや。そういうことで、2代目というか、後継者は権威の活用ということをせんといかんわな。

創業者の経営理念を研究し体系化せよ

3つ目は、経営理念を精緻に研究、体系化することや。というのはな、創業者というのは、仕事を成功させるために、まあ、いわば、昼夜兼行でがむしゃらにやるわけや。そのときに経営理念をまとめる余裕もない。必死に仕事に取り組んでおるというのが通常の姿や。あるいは、その創業者の存在そのものが、そのまま経営理念ということができるから、わざわざまとめんでも済むというところがある。

ほんとうはまとめたほうがええんやけど、まあ、そういうことになる。で、まとめられておらんと。まとめられておっても、おおまかであると。そこで2代目の後継者は、その創業者の経営理念を研究し体系化するという作業をせんといかんわけやな。

どうして体系化せんといかんか、文章化せんといかんかというと、考え方、思いというのは、ちょうど水のようなもんや。水であるからして料理もできるし、物も洗うことができる。しかし、その水のような状態では、次の人、隣の人に一滴も漏らさず手渡しすることはできんわね。

そこでどうしたら水を一滴も漏らさず手渡すことができるかといえば、その「水」をいったん凍らせ、「氷」にすることや。そやろ。氷にすれば漏れることはない。その水を凍らせる作業、氷にする作業、それが経営理念の体系化、文章化ということになるんや。それを後継者はやらんといかん。

しかし、このことからもわかることは、文字に書かれた経営理念というものは、いわば、氷であるということを知っておらんといかんわな。文字に書いてあります。ここにこう書いてあります、と言うことではいかんわけで、それでは氷でご飯を炊いたり、料理をしようとするのと、なんも変わりのない愚かなことや。氷は1度溶かして、水にして使わんといかん。

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