長引く日本の不妊治療
患者の負担を軽くするには

春木院長は「私は、自然周期、刺激周期の間に垣根を設けず、採卵数や受精した卵の数による成果主義型の治療費を設定しています」と話す。

こうした成果報酬型治療費は、妊娠・出産までどれだけかかるのか先が読みにくい治療費総額に目途をつけられるメリットがある。不妊治療の敷居を下げることを目指して、導入するクリニックも増えているという。また、国の補助で自治体が費用の一部を負担する助成金制度も活用できれば、経済的負担を軽減できる。

ペン型自己注射や夜間診療で
忙しい人にも対応

不妊治療を受ける患者にとってのもう一つのコストが時間だ。待ち時間が3時間を超える有名クリニックもあり、仕事をしながら治療を受けたい人の負担は重い。これに対しては、クリニック側も、仕事帰りに受診できるように夜間に診療時間を設けるなどの対応をしている。

また、遺伝子組み換え卵胞刺激ホルモン製剤の登場によって可能になった自己注射の普及も朗報だ。極細の針を備えたペン型注射器によって、少ない痛み(10段階スケール評価のアンケートで平均1.75)で、セルフコントロールの治療を受けられる。排卵誘発剤は、投与量が多いと卵巣がはれることがあるため、毎日少量ずつ投与しなければならない。働いていて毎日通院するのは大変という患者に対しては治療のハードルを下げることに貢献している。

春木院長は「私は、不妊治療の専門医として、患者さんのニーズに寄り添った治療法の提供をしています。治療を受ける方は働きながら通院していることを前提にして、クリニックの側も対応すべきです。費用や時間などのコスト、痛みや精神的な負担をできるだけ軽くして、妊娠しやすい環境を整えることも重要と考えています」と語る。

「不妊治療は大変」なのは事実だ。が、負担軽減の取り組みも進化している。治療を受ける側も、早く治療を始めるなど、正しい認識を持てば、状況は一層改善されるだろう。

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