体外受精は、卵子を採り出す前の卵巣刺激方法で大きく二つに分かれる。一つは排卵誘発剤をほとんど使用せず、自然に近い形で卵胞を発育させる自然周期。もう一つは、排卵誘発剤などを比較的多めに使って卵巣を刺激する刺激周期だ。クリニックによっても、どちらを好むか、は異なる。
春木院長は「“自然”の方が体にやさしく、良いことのように聞こえますが、そう単純ではありません」と話す。というのも、刺激周期なら8個前後の卵子を採れる人でも、自然周期だと1~3個に限られるからだ。採卵から妊娠までには、いくつものハードルがある。たとえば、採卵後に受精した胚を子宮に戻しても妊娠する確率は2割前後にとどまる(注3)。そもそも、うまく採卵できても受精しない場合や、胚がきちんと発育しない場合には、胚移植すらできないのだ。その結果、採卵数が少ない自然周期では刺激周期に比べると、どうしても採卵回数が増えがちだ。
春木院長は「採卵の回数が増えれば、時間も費用もかかり、うまくいかなければ、その度に精神的負担もあります。一方、卵子の数に余裕があれば、凍結保存ができるので、うまくいかなくても次のチャンスに賭けることができ、妊娠出産に至った場合は、その若い時の凍結胚で第二子に備えられるので、十分な卵子数を確保することは非常に重要です」と説明する。
成功報酬型の治療費や助成金が
患者の負担を軽減
ただ、刺激周期は一般に自然周期に比べて治療費が高額に設定されている。体外受精は健康保険が適用されないので、治療費は医療機関によって異なるが、刺激周期を自然周期の2~3倍の価格設定にしている医療機関もあるという。
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