商社マンといえば、昔も今も押しも押されぬ人気職業だが、名称の末尾が「マン」というくらいで、女性が従事する職業のイメージがない。ましてや、激務と育児を両立させる“ワーキングマザーの商社マン”などまるでイメージできない。
だが最近では、頼もしいことに、子どもを海外赴任に同行させるなど、出産後も商社総合職を継続するワーキングマザーが、少しずつ現れ出している。
三井物産のコンシューマサービス事業本部で働く中山あやこさんも、そんな先発隊の1人だ。しかも、お子さんは3人(!)
現在は、中学1年生、小学5年生、保育園(5歳)の3人の娘さんの育児をしながら、三井物産が初めて参画する「水族館事業」のプロジェクトマネジャーを務める。
「役割は、資金調達や株主間の調整、行政との折衝など。面白い仕事ですよ」
女性総合職の5期目。2001年、27歳で第1子を出産した後、短時間勤務制度(時短)の取得を申請したときは、上司に「それって、どういう制度?」と逆質問されてしまうほどの“少数派”だった。
そんな中山さんは、どうやって、育児をしながら、面白い仕事を勝ち取ってきたのか?
妊娠中にマネジメントスクールへ
中山さんのキャリアのスタートは、繊維本部だ。1996年の入社当時は、まだ商社独特の「背番号制」――入社時点で配属された部門に、その後も配属され続ける――が残っていた。
中山さんはそこで、海外ブランドのライセンスビジネスや、三国間貿易の営業に携わったが、26歳で結婚、第1子を妊娠したあたりから、別の仕事に興味を抱くようになった。
「最初に手掛けたライセンスビジネスが失敗し、ずっと心の中にわだかまりがありました。そんなとき、商社では、事業会社を作り、上場させてキャピタルゲインを得る事業投資型のビジネスモデルが盛んになりつつありました。そこで、私も、事業会社の投資や経営に挑戦したくなったんです」
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