三井物産の母、豪快すぎるキャリア人生 3人の育児との両立、「アッハッハ」で乗り越える

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だが、それには「背番号制」を乗り越えることが必要だ。さらには、事業投資型ビジネスを手掛けるだけのスキルも不可欠になる。そこで中山さんは、妊娠中、大きなお腹を抱えてマネジメントを学ぶスクールに通い、アカウンティングやマーケティングなど経営全般を学ぶことにした。

そして力を蓄え、第1子出産後いったん繊維本部に戻った後は、「外食産業の事業投資担当者募集」の社内公募を見つけ、自らやりたいと名乗りを上げた。こうして、中山さんは、「背番号の壁」を乗り越えた。

一般的に、子どもを妊娠・出産し、育児態勢に入ると、保守的になり、自分の持ち場を守ることに執心するワーキングマザーが多い。だが、中山さんは妊娠中でも新しいことに挑戦する姿勢を崩さない。これは、すごいことだ。

けれど、中山さんは、「そんな、全然すごくない。ただ、学校に通って応募しただけですよ。アッハッハ」と豪快に笑うだけ。“スーパー・ウーマン”の気負いは、まるでないのだ。

仕事にフルコミットするため、家族大移動

くだんの外食産業事業では、成長戦略や販売分析などを担当し、経営の実務経験を積むことができた。しかし、29歳で第2子を出産し、またしてもキャリアは中断。復帰後は一時的に、営業の前線から離れ、営業に帰属する管理部門に配属されてしまう。「事業の経営」をキャリアの軸足に定めた中山さんにとって、忸怩(じくじ)たる思いではなかったのか?

「それが、案外ムッとはしませんでした。むしろ、最初はスロースタートでいけていいかなと」

この自然体が幸運を引き寄せるのか、チャンスはすぐに巡ってきた。

「働く女性の視点で、新しい事業を速攻で立ち上げなさいとの指令が下ったのです。そこで、これから伸びる事業として目をつけたのが、保育事業でした」

三井物産が資本参画できる保育事業会社はないか。中山さんは、保育業界を徹底的に調べ、売上規模が高いほうから順に訪問していった。

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