三井物産の母、豪快すぎるキャリア人生 3人の育児との両立、「アッハッハ」で乗り越える

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そして神奈川県藤沢市にある保育事業会社とアライアンスを締結。投資を行い、さらには、経営企画担当として出向することになった。

「今度は家族そろって藤沢市に大移動です。“物産魂”ではないですが、死ぬ気でフルコミットするからには、出向先との懇親のための飲み会も増えるだろうし、物産にいるときのように『そろそろ帰ります』は無理だと思いました」

そのぶん、家族には負担をかけたという。金融機関のトレーダーであるご主人は朝が早い仕事だが、藤沢から東京まで遠距離通勤をしてもらうしかなかった。目黒区の保育園通いだった娘2人は、転園させた。

「みんな、大変だったと思います」

だが、そこまでしたかいはあった。ここで、中山さんは目覚ましい成果を出したのだ。

「当時はちょうど、練馬区の区立保育園の民営化が大失敗した時期。そんな逆風の中、川崎市立保育園の経営を受託し、運営することに成功したのです」

この成功を支えたのが、中山さんの母親としての立場や経験だ。

「練馬の保育園が失敗したのは、保護者に対する説明責任を果たさなかったからに尽きます。だから私は、保護者説明会のスピーカーとして、保護者の方々に、民営化することで園はどうなるのか、丁寧に説明しました。おかげで、保護者と園がもめることはなかったですね」

こうして出向先の保育事業を軌道に乗せ、三井物産に戻った後は、広島球場のスポンサーシップ、つまりは球場内でのビール販売権など各種権利の営業・販売などに携わった。

「毎週広島と東京を行ったり来たり。最新のアメリカ型のスポンサーシップモデルを導入する仕事が楽しくて仕方がありませんでした」

そんな折、中山さんは、予想外に第3子を妊娠した。

次ページ予想外の第3子妊娠、家事分担もより戦略的に
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