高度成長期の頃は、もっと単純な進み方があった。外に出て行って、マーケットをつくって、日本の商品をどんどん売っていくというのが顕著な例だ。だが、今は日本が豊かになったこともあり、そんな単純明快にはいかないし、日本の成長率の鈍化に伴って、若者にもかつての先人のような貪欲さもなくなっている。
では、20代はどのようにしてキャリアを積んでいけばよいのか。この問題に対しては、どの会社に入るかというより、「自分らしい」キャリアを積むことが大事になってくるだろう。だが、それは会社に就職することが無意味だという意味では決してない。組織に入らないと学べないことも多くあるからだ。
ビジネスで必要不可欠な2つのスキルとは
――西村さんはご自身で振り返ってみていかがでしょうか。
コンサル業界で22年間やってきて、正直に思うのは、まったく異なるほかの業界でもある程度自分は仕事ができるだろう、ということだ。なぜなら、ビジネスの世界に共通して必要な2つのスキルを身につけたからだ。
ひとつは、論理的に考える力。営業でも事務でもどんな部門でも、問題を発見して解決する力が必要なのは変わらない。もうひとつは、組織をマネジメントする力。この2つがビジネスマンにとって、どの会社でも必要不可欠なコアスキルと言ってもいいだろう。逆に言ってしまえば、それ以外は、その業界の知識を学べればいい。
先ほど挙げたロジカルシンキングとマネジメント力という普遍的な2つのスキルは、スキルとして見えにくい。知識のように明確には計れないからだ。だからこそ、組織に身を置く必要がある。「論理的に」と言われて、ロジカルシンキングを5冊読みました、では意味がない。
――20代の就職や転職で、気をつけるべきことは何でしょうか。
企業研究をスキルと勘違いする学生は、間違いなく、泣きをみる。
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