10年後も食える「ソフトスキル」の鍛え方 藤原和博氏とキャメル・ヤマモト氏に聞く
(司会:宇野令一郎・BBT大学 学部・事務局長)
自己紹介とプレゼンの決定的な違い
――まずは、お2人が重要だと思うソフトスキルについてお聞かせください。
藤原:これからの時代に必要なソフトスキルを考えたときに、第一に挙げられるのが「情報編集力」だと思います。たとえば、「なぜマクドナルドはハンバーガーとポテトとコーラを一緒に売るのか」ということです。おそらくハンバーガーだけを売っていたら、マクドナルドはあそこまで成長しなかったでしょう。ただ単に3つを足しているよりも、付加価値が増殖しているんですね。
必要なのは掛け算なんです。私の場合、「リクルート×校長」の掛け算をして、両方でマネジメントの力を証明したから、価値が3倍くらいに上がったんです。実際、リクルートのフェローでもらっていた年収は校長になって3分の1くらいに下がりましたが、校長を辞めた瞬間に5倍くらいに膨れ上がりました。もしリクルートにいたままだったら、おそらく価値は暫減していたでしょう。
キャメル:私は「強みを作り、生かしきる」ことだと思います。皆さんも何かの「強み」は持っていると思うのですが、その「強み」をプレゼンして人を引きつけながら戦っていく、という意識がないと生き残れません。それに、せっかく生まれてきたのに自分のポテンシャルを出せない人生なんてつまらないじゃないですか。自分を出すことによって皆から刺激をもらい、育ててもらうことにもつながります。
藤原:確かにそれは必要ですね。ただ、自分を出すときにそれが単なる「自己紹介」ではなく、相手に伝わる「プレゼン」にすることが重要です。自己紹介は、ただ単に自分の頭にあることを説明すること。いくらやっても、相手の頭の中にその像がきちっと描かれるかどうかわかりません。それはパワーポイントでやろうと、どんなツールを使ってやろうと同じです。
大事なのは、自己紹介ではなく、プレゼンをやることです。仮にこの講演が終わってから私に話しかけようとしている人がいたとして、初めに名刺を出すようではアウトです。初対面の人に会って、まず目と目を合わせニコっと笑って、その後、相手の記憶に残ることを言えるかどうか――名刺なしで相手の頭の中に自分の像を描かせる訓練を徹底したほうがいい。