「知らない」ことはささいなこと
ビジネスの世界では、物事を知っているかどうかは、大した話ではない。知らなかったら覚えれば終わり。研究職などでないかぎり、大半がキャッチアップ可能な知識ばかりだ。質問に答えることで評価されるという学生時代は、暗記量がある人が勝つかもしれない。だが、社会人では、考える思考プロセスが大事だ。むしろそれがすべてと言ってもよい。
だが、学生からみると、ある知識を知っているとか、知らないとか、マーケットに詳しいとか、そういうものがスキルとして輝いて見えがちだ。本当は、そんなものは書店で関連の本を読めば誰でもわかるし、仕事をすれば3カ月で身につく。だが、先に挙げた普遍的な2つのスキルは、組織に入って初めて本当に身につくスキルだ。
ロジカルに考えるというのは、ビジネスの中で実践的に身につけるしかない。議論をしたり考えたりする集団に、2年ほど身を置かないとわからない。マネジメントもそう。若くして責任を与えられて、徒弟的に学ぶのが大事なのだ。間違えてほしくないのは、管理職だから、皆が身につけているわけではない。意識的に身につけるよう努力しなければならない。
これから会社を選ぶときにも、そういう制度がある組織を選ぶことも大事だ。たとえば、単純に特定の商品をアルバイト的にひたすら売り続けても、本当のキャリアアップには絶対になりえない。
――すみません。アクセンチュアのような優秀な人材が集まる企業に、こんな質問をするのもどうかと思いますが、そもそも、働きたくないと思っている若者も大勢いるようです。
え……。う~ん。実際に会ったことないな……。本当にいるのかな。
――ええ……。当然アクセンチュアの塾に来るような層ではありませんが、確実にいるんです。どうしたらいいですか。
実は、働きたくない20代の多くは、ただ社会を知らないまま頭の中でイメージを作り上げているケースが多い。本当の社会人を知るだけで、考え方が変わる子も多いだろう。もうひとつは、大学があまりにも企業との関係が薄いという原因もある。企業と大学はもっとかかわる必要がある。そうすれば、もっと社会に出たときのことをイメージできるし、求められることがわかれば、大学での過ごし方も変わってくる。
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