MBAエリートたちが、"失敗"を急ぐ理由 仏INSEADには、良質な"失敗"が用意されている

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2日間、睡眠時間以外はすべてキャンパスで過ごし、48時間以内に、即席で割り当てられたチームで起業アイデアをまとめあげ、投資家の前でプレゼンテーションする。

吉田さんがこの合宿に参加したのは、2012年10月。開発援助に興味があった吉田さんは、社会的企業の起業がテーマの回に参加した。

チームメートは、インド人女性とパキスタン人男性だった。

起業をテーマにした授業では、インド人女性、パキスタン人男性とチームを組んだ(写真中央が吉田さん)

「家族などの後ろ盾を失ったインド人女性が自立するのを手伝うビジネスを考えたい」、と提案したインド人女性に対し「新興国での体験型旅行」というアイデアを出したのは吉田さんだった。

日本の社会的企業、マザーハウス(バングラデシュなどでアパレル製品や雑貨の企画・生産・品質指導を行い、世界で販売)が企画していたツアーを思い出したからだ。

マザーハウスは、バングラデシュで旅行者が学校訪問をしたり、工場見学をしたり、オリジナルバッグをつくったりするなど、現地の人との交流や草の根体験を目的としたツアーを企画している。

このアイデアを基に、「インドを体験するツアー」をビジネスにするための、具体的なプラン作りがスタートした。

プランは、ミーティングのたびに、二転三転どころか、四転五転したが、徐々に形になっていった。最終的には、1)旅行地は観光に力を入れているインド中部のハイデラバード市、2)地元のホテルと手を組む、3)貧しい生活を強いられている女性たち(特にシングルマザー)を積極的に採用するという方向性を決定。トレーニングを施したうえで、現地ツアーガイドや料理教師の講師として働いてもらう、という案にまとまった。

48時間後、投資家にプレゼンテーションをしたところ、こんなフィードバックをもらった。

「目的意識が明確で、現地のホテルを巻き込むという着眼点も良いけれど、ビジネスプランとしては、まだちょっと弱いね。

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