「『カヨは物事を説明するとき、結論を急ぐあまり、言葉足らずになる傾向にある。特に誤解が起きやすい国際ビジネスの場では、自分では説明過多だと思うぐらいに、コミュニケーションを取ったほうがいいよ』、とアドバイスをくれました。
そして、ウォーレンには『君は中国で現地スタッフを統率してきた経験からか、つねに自分がリーダーシップをとり、周りを動かさなければという責任感にとらわれすぎている。INSEADのような学生同士が対等な場では、そのような行き過ぎた態度は反感を買うおそれがあるよ』と。彼の的確なアドバイスがきっかけとなり、その後、徐々にチームがうまく回り始めましたね」
当初、衝突していたウォーレンさんとは、いまはすっかり打ち解けている。一歩引いて、落ち着いて話をしてみると、実は、「感情的だ」と思えた発言も、実はグループ全体のことを考えてのことだったと、とらえられるようになったという。
「グループで課題に取り組んでいると、『インド人は数学が強いはず』『コンサル出身者だからプレゼンが得意なはず』など、ついつい固定観念で見てしまいがちです。INSEADで、『相手を判断する前に、まず固定観念や偏見に縛られている自分に気づく』ということの大切さを、日々学んでいます』
日本だったら、『それぐらい我慢しろよ』『気づけよ』といった、あうんの呼吸で仕事をしていったほうがうまくいく場合もありますが、欧米ではそれではうまくいかないと強く感じましたね。ぶつかるぐらいに議論をして、初めてわかることもあるのです」
「失敗から立ち直る秘訣は、早く失敗して、早く修復すること」。その言葉を実感した4カ月だった。
あなたのやりたいことは、ビジネスになるか?
INSEADでは、1年間という短い在学中に、なるべく自分の本当に好きなことを見つけられるよう、さまざまなプログラムが組まれている。フランス以外にも、シンガポール、アブダビにキャンパスを持ち、留学期間の半年間を、興味のある地域で学ぶことができる。アメリカのウォートンやケロッグとの交換留学制度もある。
INSEADでは、自分のやりたいことを試す機会のひとつとして、起業合宿(ブートキャンプ)がある。テーマごとに年5~6回開催され、学生は興味のある分野を選んで、参加することができる。
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