米国流の"褒め重視"、ロシア流の"直球勝負" あなたが多国籍チームのリーダーになったら…

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宇宙という、死と隣り合わせの過酷な環境で、多国籍チームを率いるリーダーはどうあるべきか――。会社のリーダーに様々なタイプがいるように、知識や技量、経験、人望のすべてを備えたスーパーリーダーと思われがちな宇宙船の船長にも、実はさまざまなタイプが存在する。そして、船長の采配で仕事のしやすさやチームの雰囲気は大きく変わるのである。

日本人として初めてISS(国際宇宙ステーション)の船長になる若田光一(前回記事を参照)には、理想とする船長像がある。その1人は、かつてスペースシャトルで2回飛行したときの船長だった元NASA、ブライアン・ダフィー船長。仕事だけでなく「人生の師」と仰いでいる。どんなリーダーなのか。

前列中央が、ブライアン・ダフィー船長、後列左が若田光一飛行士
(出典:JAXA/NASA)

「一言で言えば、『リーダーを感じさせないリーダー』です。普段からメンバーが何を考えているか、業務の到達度はどうか、何気ない会話の中で把握して課題があればアドバイスをくれる。

大事な仕事を任せ、失敗してもカバーできるバックアップ態勢をさりげなく準備する。だからメンバーは難しい仕事を担当しても、周りから見ていると、その困難さを感じさせずにスムーズに仕事を終えてしまう。これはリーダーの極意ですね」(若田)。

ルーキーを育てる極意

ダフィー船長は、つねに静かな微笑みをたたえた穏やかな人物だ。若田は1996年の初飛行の際、新人ながら2つの人工衛星をロボットアームでつかみ、放出するという非常に難易度の高い仕事を任された。

ルーキー(新人)に大きな仕事を任せるため、ダフィー船長は訓練時にさまざまなトラブルの例を示しながら「こんな時どうする?」と繰り返し若田に聞き、理解度を把握したという。「まるで優しい親父が子供に尋ねるようでした」(若田)。

ルーキーに仕事を任せれば、時に失敗もするが、ダフィー船長はそんなときも決して落ち込ませない。「手順書を直したほうがいいね」など建設的なアドバイスをする。ダフィー船長のモットーは「Trust but Verify(信じるが確認せよ)」。

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