「宇宙飛行士」に対して、あなたはどんなイメージを抱いているだろうか。
知力・体力・精神力ともにずば抜けた「スーパーエリート」であり、(自分たち)サラリーマンとはかけ離れた「雲の上」のような存在……。こんな先入観を持つ方も多いのではないかと思う。
メディアに登場する宇宙飛行士は、「晴れ舞台」である宇宙で活躍する姿がほとんどだ。どんなトラブルにも動揺せず冷静沈着に対処し、命の危険と紙一重の宇宙空間でつねに笑顔で仕事をこなす彼らは、確かに英雄に映るだろう。
だが、2013年末からの宇宙飛行で、日本人で初めてコマンダー(船長)を務めることが決まっている世界の宇宙飛行士のエース、若田光一氏は英雄視されることに違和感を覚え、「宇宙飛行士って『課長』のようなものですよ」と常々私に言っていた。
スペシャリストでなく、部長でもなく、課長ですか? いったい、どういうこと?
約20年間、宇宙飛行士のインタビューを続けてきた私も、若田氏の言葉に驚いた。だが、彼らの置かれている立場や仕事内容を考えるうち、「なるほど」と納得するようになった。
そもそも複雑多岐にわたる宇宙ミッションは、宇宙飛行士の頑張りだけでは決して成しえない。世界中の管制官、技術者、訓練担当、医学関係者など巨大な「グローバルチーム」が宇宙飛行を支えている。
そして宇宙での仕事内容を決めるのは管理職である運用チーム。宇宙飛行士はこうしたチームの一員なのだ。
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