三井不動産、ハコモノの常識に挑む男 生活のストーリーを作り、街を生み出す

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

根っからの“マンション屋”なのだろう。自身がこれまでに手掛けてきた物件について語るとき、彼の眼差しは100点満点のテスト用紙を母親に見せびらかす少年のように、キラキラと輝く――。

日本のマンション開発の雄、三井不動産レジデンシャル。柏の葉や新浦安といった同社を代表するエリアで数々の大規模物件を開発してきたのが、開発事業本部・商品企画室に籍を置く、町田収グループ長だ。

彼の目下の任務は、同社が現在の中期計画で中核事業の1つに挙げる「三井のすまいLOOP」という新事業。これまでに同社グループが供給してきた分譲住宅、注文住宅から賃貸住宅に至るまで約40万戸を対象とし、暮らしの質を上げるための各種サービスを提供しよう、というものだ。

提供するサービスは、文字どおり、暮らしに関わること全般。食材やキッチン用品など台所まわりのサービス、レストランやホテルの割引から、果てはリフォームやハウスクリーニングといった家全体にかかわることまで……。

三井不動産グループの住宅に住む人であれば、8つのカテゴリーから約500種類のサービス(12年11月末時点)を会費なしで受けることができる。これほどまでにサービスが多岐にわたり、かつ、賃貸居住者まで対象に入れた会員サービスは、業界初の試みだ。

「人口減少が進む日本国内では、分譲住宅の需要は必ず減っていく。でも、分譲住宅が売れなくなっても、お客様は必ずどこかに住んでいて、そこには“暮らし”が存在する。われわれは住まいを提供する会社だけど、これからはその中で営まれる暮らしにドンドン軸足を移していかないといけないんです」。新事業の狙いを、町田氏はこう語る。

とはいえ、これまでもっぱらマンションというハードの開発に従事してきた人間が、一転して“暮らし”というソフトを提供する側に回るというのは、戸惑いも多いのではないか。ところが、町田氏には不思議なほど迷いがない。

次ページ広さ1.5倍のマンションをどう売る?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事