宇宙飛行士100人のトップに立つ男 宇宙の”中間管理職”に学ぶ、「調整力」

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今、世界で現役の宇宙飛行士は約100人。さらに宇宙飛行士を率いる船長(コマンダー)の座を担うことができる人間はその中でも一握り。彼らは「人類代表」と言ってもいい。

その役割を日本人宇宙飛行士として初めて担うのが、若田光一だ。2013年11月(NASA発表)、若田は飛び立つ。4度目の宇宙飛行での快挙だ。

……と言われても、船長ってどれだけスゴイの? 若田さんってどんな人なの? と思う方も多いだろう。

日本人で初めてISSの船長になる若田光一宇宙飛行士 
(出典:JAXA/NASA)

船長とは、宇宙で「仲間の命を預かる」極めて重要な立場だ。国際宇宙ステーション(ISS)で緊急事態が発生した場合、船長は「地球に戻るか否か」という究極の判断を任される。そのためISS船長の多くは軍出身者。生死をかけた危機管理に慣れているからだ。

ではなぜ今、日本人が船長になれるのか。宇宙船は各国の技術とプライドの結晶で、他国の宇宙飛行士に操縦桿は渡さないという暗黙のルールがあった。だがISSは宇宙の実験施設であり、打ち上げや着陸などの操縦をする必要がない。こうして、日本人もようやくISS船長のポストが狙えるようになったのだ。

宇宙飛行士のトップに立つ資質

若田の部下は、誇り高き米国とロシアの宇宙飛行士たち。いずれも有人宇宙飛行では半世紀以上の歴史を持つ、宇宙大国の精鋭たちだ。技量もプライドも高い猛者たちから「コイツなら命を預けられる」と全幅の信頼を得て、チームを率いるのは簡単なことではない。

船長にはISS全体の複雑なシステムに関する知識、予想不能な状況にも柔軟に対処できる技量、経験、そして人望が求められる。

NASAでは宇宙飛行から帰還した直後、宇宙飛行士の資質評価会議が開かれる。「訓練や宇宙飛行を通してどんなパフォーマンスを発揮したか、チームプレーヤーとしての役割を果たしたか。次の飛行でコマンダーにしていいか。宇宙での仕事、地上訓練や業務すべてが評価の対象になります」と若田は言う。

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