偏見に縛られてはいけない。対話によって、新しい視点が生まれる。
U理論を実感した1日だった。
MITにソーシャルベンチャーの風を!
山本さんが現在、SEIDで取り組んでいるのは、ケーススタディの作成だ。
ソーシャルベンチャービジネスの成功例と失敗例をまとめた内容で、2013年秋に、MITスローンの学生も受講するMITメディアラボ(伊藤穰一所長)の授業で、教材として使用されることが決定している。
山本さんは、MITの学生・卒業生が立ち上げた社会的企業のビジネスモデル、歴史、設立目的(どんな社会問題を、どう解決するのか)、などをケースにして取り上げることで、在校生がアカデミックに学ぶきっかけを作りたいと、自ら、ケース作成チームのリーダーとなった。
「MITでも、ソーシャルベンチャーに関心のある学生は非常に増えていますが、卒業生の社会起業経験から学ぶ機会は限られています。たとえば、卒業生が勤務する民間企業の事例は教材になっても、ソーシャルベンチャーの事例は、取り上げられていません。このケースがきっかけになって、ソーシャルベンチャーの人材や資金の獲得につながればうれしいです」
現在、山本さんは精力的に、MITスローンの学生、教員、卒業生を中心に、インタビュー取材を重ねている。
「初めてのことだらけで、いろいろな人を巻き込んで、助けてもらっています。あっちこっち、インタビューで走り回っていたら、アメリカ人の同級生から、『You are well-connected!』(人脈がすごいね)と感心されました。
それで、自分のリーダーシップスタイルは、これでいいんだ!と、自信が持てるようになりました」
山本さんは日本にいるときから、異なる利害を持つステークホルダーを共通の目標に向かって1つにまとめていくのが得意だと感じていたという。これを、MITスローンでは、「Relating」の能力が高いと表現する。
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