また、ジェイソンさんは、「仕事と遊びを一緒にしちゃいけないよね」というツイッターユーザーの声に、「なんで? 逆に仕事楽しまないと人生つまらないと思うけどな」「楽しい=不真面目と勘違いしている日本人多いな」と日本人の仕事観に疑問を呈した。そもそも、日本人には「仕事=苦行」、という観念もあるのかもしれない。
そういった「我慢の美学」は確かに欧米にはあまりない。「多くの脳科学研究から明らかになったのは、一生懸命、働いて成功すれば幸せになるのではなく、幸せだからこそ、成功するということ。だから最初に、幸せになることを見つけろ。そうすれば、成功があなたを探してついてくる」。
スタンフォード大学の研究者、エマ・セッパラ氏が行った「幸せ」についての研究が最近、米国で注目を集めている。まさにジェーソンさんの言うとおり、我慢して働く日本人の「幸せの生産性」は低い、ということだ。
「離婚」を避けようとする国民性
もう一つの仮説は、会社と社員の双方がそれぞれの良さに気づいていないのではないか、ということだ。日本の就職はある意味、結婚のようなもので、会社は「家庭」「家族」のような存在と例えられないか。最近でこそ、離婚率は上がったが、まだまだ米国などに比べて低い。日本では、たとえ、相手に嫌気がさしても、愛情がなくなっても、「腐れ縁」で続ける結婚生活が非常に多い。
米国人にはそんな我慢強さや諦念はみじんもない。とっとと、別れる。離婚したくなければ、必死に相手のご機嫌もとるし、プレゼントも欠かさないし、「きれいだよ」「素敵よ」「愛しているわ」と言い続ける。会社との関係も同じだ。社員に気に入らなければ辞められてしまうから、会社もラブコールを続けるし、社員もそれにこたえようとする。
日本の企業と社員は「お互いの良さを忘れてしまったマンネリ仮面夫婦」のようなものかもしれない。「釣った魚にエサはやらぬ」と言わんばかりにお互いに忍従を強いる会社システムではやはり、不満の巣窟にならざるを得ないだろう。離婚(転職)して、世間の相場を知れば、案外お互い悪い相手ではなかったと思うこともあるかもしれないが、我慢して一緒にい続ける選択をするので、比較検討する対象もなく、本当の価値を見直す機会もない。
というわけで、この「サラリーマン不幸症候群」。日本の雇用制度の根本構造に関わる大きな問題なわけで、エラそうに講釈を垂れる立場にはないのだが、こうした事態が少しでも改善できる手立てはないものだろうか。「人生の多くの問題はコミュ力で解決できる」と信じる筆者なりに、コミュニケーションで、もつれた糸をほどく方法を、次回は探っていきたい。
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