しかし、ここで最後に大きな疑問が発生してきます。「怠惰」「自分中心」という特徴もあるミレニアルズは果たして、実際に投票所に行って投票するのか?ということです。数字で見ると、ミレニアルズの78%が2016年の大統領選に関心が高いと答え、これは他の世代とそれほど大きな差はありません。
オバマショックから立ち直れるか
日本では若者の政治離れが言われていますが、米国の若者はオバマ大統領を選出した2回の選挙で大きな役割を果たしました。ただ今回はどうだろう、という悲観的な見方も少なくないのです。そう考える理由はこうです。
前回、2014年の中間選挙でミレニアルズの投票率はほかの世代に比べてずっと低く、この年齢層としては40年ぶりの記録的な低さでした。その理由は彼らが政治に失望したからと言われています。熱狂的な選挙戦でオバマ大統領を選出した大統領選で大きな「チェンジ」を期待したものの、議会も政治もまったく変わらなかった。将来への大きな不安を抱え、何もしてくれない膠着状態の政府に裏切られた、捨てられたという気持ちになっているのです。
ハーバード大学の調査によれば、82%ものミレニアルズが「議会は信用できない」と感じています。74%が「連邦政府のやり方は間違っている」と感じ、86%がウォールストリートなど経済界への不信を表明。88%がメディアもあまり信頼できないと答えています。彼らはあらゆる「権威」をまったく信じていないのです。
この点では、政治不信の強い日本のさとり世代に、米国のミレニアルズが追いついてきた、と言うことができるかもしれません。
そのいい例が共和党候補のトランプとカーソンで、それぞれビジネスマンと医師が本業、これまでの政治家にはないものを求めているのです。特にトランプはあらゆる場面で既存の「ポリティカリー・コレクト(政治的に正しい)」を否定する発言を繰り返し、これを「本音で話している、胸がすく」と感じているミレニアルズは少なくありません。
一方で権威を信じていない代わりに、フェイスブックなどソーシャルメディア上の投稿の4分の1は政治に関するものだという調査結果もあります。また、ミレニアルズは前の世代に比べるとボランティアなどに積極的に参加する人が増えるなど、社会参加意識は決して低くない。政治には失望しても、自分たちの力で社会を変えようという前向きで、ある意味楽観的な気持ちは失っていないのです。
ピュー研究所の調べでは、ミレニアルズの49%は米国の将来に明るい展望を持っています。これはX世代の42%、ベビーブーマーの44%に比べても高い数字です。彼らが政治に求めるものをどう示すことができるかが今後の選挙戦の動向に大きく関わるのはもちろん、彼らの政治への信頼を取り戻すことが、米国の未来を救う大切な鍵になっているのは間違いないでしょう。
しかしそれを知るのは今のところミッション・インポッシブル。「ミレニアルズ自身にもわからない」と当のミレニアルズが言うほどですから。今後もメディアを中心にミレニアルズの政治意識に関する予測・憶測があふれそうです。
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