記事の前半で、ミレニアルズの50%が民主党支持または民主党寄り、34%が共和党支持または共和党寄りとお伝えしましたが、実は民主、共和を抜いて最も多いのが「インディペンデント」。ミレニアルズの3分の1から半数近くが実は無党派層なのです。
「無党派」は民主、共和党支持をしのぐ
リベラル、保守といった考え方は持ちながらも、どの党にも属さない理由は、ここ数年議会を膠着させている党利・党略主義に嫌気がさしていること。そしてそれ以上に、自分たちの政治的、社会的な考え方にぴったりフィットする政党がないからです。
共和党支持だけどリベラルだったり、基本リベラルでも場合によっては保守的だったりと、これまでの二大政党の枠にはまらないミレニアルズが増えています。高度に多様化している現代に生きる人にとっては当然のことかもしれません。逆に言えば、いろいろな意味で2大政党のありかたが時代遅れになってしまっているというのが現状です。その結果発生しているのが「無党派=リベラル寄りの巨大な浮動票」です。2016年、この巨大な浮動票を、どのようにつかむかで両党は躍起になっています。
ここに来てもうひとつの予測不可能な要素が加わってきました。この原稿を書いてから校正までの間に、西側世界では大きなテロが2回起こりました。パリに続く米国西海岸のカリフォルニアでの事件で、米国人の心に強い恐れが芽生えました。
これらを受けて共和党候補のドナルド・トランプがさらに躍進しています。「偉大な米国を取り戻す」「不法移民の排除」を叫び続けて来た彼は、12月上旬にロイター通信の世論調査では、テロに最も有効に立ち向かえる候補者は誰か?という質問に対し、全年齢が「トランプ」と答えています。ミレニアルズも同様でトップにはトランプ氏、その後にサンダース氏、ヒラリー氏が僅差でつけています。
同じ調査で大統領選に際しミレニアルズが最も重要を考える案件のトップは、これまでの「経済」から「テロとの戦い」に変わっています。今アメリカ人、特に若者の関心がテロにあるため、「強い候補者」を求める気持ちが強くなっているのは当然かもしれません。
しかし、トランプ氏は12月始めに「イスラム教徒の入国を禁止せよ」という強硬な発言をして、メディアやリベラルよりの市民はもちろん民主・共和両党からの大バッシングにあいながらも、一般の共和党支持者からの支持率はむしろ上昇する傾向にあり、今後の動向が気になるところ。
こうした外部環境がミレニアルズの価値観や行動に大きな影響を与える中、この1年でイスラム国の行方やテロや経済の状況が、選挙の行方を左右するのは間違いないと思います。