来年2016年、米国は4年に1度の大統領選の年です。前回記事では、米国の人口の4分の1を占める「米国版さとり世代」、つまり現在の20~35歳くらいのミレニアルズが、大統領選の結果を決定づけるであろうことをお伝えしました。
彼らの中には民主党(リベラル)支持者が多数います。いったいなぜなのか。前回記事に続き、その理由のひとつである「格差問題」とミレニアルズの現状について、引き続き取り上げていきたいと思います。
格差問題は人種問題
さて、前回もお伝えしたように、米国では世代間での経済格差がますます開いていますが、並行して、人種間の格差も急速に拡大しています。
ピュー研究所の数字では、2013年時点で、白人家庭の平均年収は黒人家庭の13倍、これは2007年の10倍、90年代の7倍に比べ大きく広がっています。一方、ヒスパニックと比べると、白人家庭はヒスパニック家庭の10倍、これも2007年の8倍に比べ格差が拡大していることがわかります。
格差問題は実は人種問題なのです。
若者の間で人種間の格差を拡大させている注目すべきファクターのひとつは、デジタル・ディバイド(情報・技術格差)です。ミレニアルズはデジタル・ネイティブと呼ばれていますが、貧困エリアに育ったマイノリティや移民の子どもたちにはパソコンやWi-fiなどのテクノロジーの普及が遅れ、その結果、高等教育や情報処理中心の職業獲得などで非常に不利になり、格差が拡大しているのです。