木本: 松本さんでもそういう勉強をされるんですね。ちょっと安心しました。ところで、今回のテーマであるマイナンバー。僕の家にも、とうとう来たんですよ。
松本: 来ましたか。
木本: この制度は日本だけにあるものなんでしょうか?
先進国では番号制は当たり前
松本: いえ。アメリカはソーシャルセキュリティナンバー(社会保障番号)というものが一人一人に与えられて、社会保障や税金を管理しています。イギリス、ドイツ、イタリアなどヨーロッパの国でも同様の制度がありますね。先進国でないのは日本くらいでした。
木本: アメリカはソーシャルセキュリティ。日本はマイナンバーという名前なんですね。
松本: 社会保障・税番号制度というのが正式名称ですね。その愛称がマイナンバー。
木本: マイナンバーは、そもそもなんのために作られたわけですか。
松本: 国民総背番号制と通称で言われています。金融サービスの効率化とか、いろいろな理由がありますが、いちばん大きな理由は、「税金を払うべき人がちゃんと払っている」ことがわかる仕組み、と考えるのがいいと思います。
木本: そこがど真ん中なんですね。
松本: はい。投資でたとえると、儲かることもあるし損することもある。損益通算といいますが、結局合わせていくら儲かったの? いくら損したの? その結果に対して税金を払いましょうという、これは当たり前ですよね?
木本: ええ。
松本: 儲かった分だけ払ったらすごい損じゃないですか。で、まとめた額に対して払いましょうと。その場合、その人を確定するID番号がないと、本当にいくら損して、得したのか、別々の証券会社や銀行に分かれて資産を運用していた場合にはわからない。その情報を統合するのにIDが必要だと、それがマイナンバーなんですね。結果として、税金を払わなくて済む場合も出てくる訳です。
木本: そういうことですか。
松本: その意味で、いろいろな情報、サービスを統合して計算できるので便利。同時に背番号がつくので「税金を払うべき人」をしっかり把握できるようになる。税収の捕捉率といいますが、日本では基本的にサラリーマンは100%の人が税金を払っているわけです。ところがトーゴーサンピン(自営業は5割、農業・水産業・林業は3割、政治家が1割)といって、業種によっては、いくら実際に所得があったかわからず、税がしっかり取れないという問題もありまして。
木本: 個人事業主は5割しか把握されていない。
松本: それをしっかり背番号をつけて追いかけていこうということだと思います。
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