「Gemini 3の登場でコンサルの危機?」AI時代でも必要とされるコンサルの特徴
このスタンスを持つことによって、実際にコンペではほとんど無敗でした。無敗というよりも、オリエンの前提をひっくり返しているので、コンペ自体を行わせないということも多かったです。
例えば、ある小売業で「DXを実現したい」と言われた案件がありました。こちらから出した回答は「DXなどというバズワード(流行り言葉)に価値はありません。まずデータを活用して、とにかく集客を伸ばすことが大事です」という提案でした。
本件は先方の社長の肝いり案件で、何としてもDXを実現しなければならない。だけど、誰も「DX」が何なのかよくわかっていない、という案件でした。
そこで、「データ活用して集客が伸びたら、それをDXと呼びましょう!」という提案に切り替えました。要するに、相手が言っている「DXを実現したい」という言葉を棚上げした形です。
結果としてプロジェクトは成功し、年間2桁億円規模の利益を生み出し続けるプロジェクトになりました。もちろん、クライアントからは絶賛されました。
「DXを実現する」という目的に付き合っていたら、このような成果は出なかったでしょう。オリエンをひっくり返すとは、本質的な目的を再定義し、成果を出すための根源的な価値なのです。
これはAIで代替することはできない価値です。AIは目的に応じた動きをしてくれるのであって、目的を決めるのは人間の仕事です。よって、クライアントの目的を再定義する仕事は、AIにはできないのです。
目的を問い直すための「フィジカルな価値」
では、どうしたら目的を問い直す力が身に付くのでしょうか?もちろん、簡単なことではありません。クライアントのビジネスに対する深い理解と洞察、業務への解像度の高さ、オリエンをひっくり返せるだけの胆力も必要になります。
ただ一つ言えるのは、フィジカルな価値を発揮することが必須だということです。足を使って人に会い、多くの情報と示唆を集めつつ、自分の味方を増やすことで提案を通しやすくするということです。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら