「楽で、かつ高収入な仕事に就きたい」「働くことは罰ゲーム」 若者たちがそう思ってしまう"根本原因"

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次に「表出」では、魅力的に見えるプレゼンを作る。「事実と感情をバランスよく伝える」「起伏のあるストーリーを語る」「仕事をしている場面が目に浮かぶくらいに、具体的に伝える」など、若者を飽きさせない工夫をすることが大切だ。

最後に「評価」では、他者に聞いてもらい、意見を交わして磨き上げる。「しごとーく」では、登壇者が企業の垣根を越えて集まり、事前研修を実施している。互いにアドバイスをし合い、ブラッシュアップを重ねることで、より魅力的なプレゼンが仕上がっていく。

大人側にとっても貴重な成長の機会に

このように準備をして臨めば、登壇者のメッセージは想像以上に学生の心に届く。真剣な大人の言葉に、学生は集中して耳を傾け、目を輝かせ、積極的に質問を投げかけてくる。アンケートでも満足度は高く、登壇者自身も「もう一度話したい」と思えるほど大きな手応えと自己効力感を得られる。

さらに、この経験は大人側にとっても貴重な成長の機会になる。自分の仕事を振り返り、言語化して語る過程は、モチベーションやエンゲージメントの向上、キャリア形成のきっかけにもなる。

「しごとーく」の事前研修の様子
「しごとーく」の事前研修の様子(写真:一般社団法人エッジソン・マネジメント協会)

こうした取り組みを通じて、学生からは次のような声が寄せられている。

「大人にも、働くことにも失望していました。でも、大人になることに希望を持てました」

「樫原さんや周囲の大人が、40歳を過ぎても楽しそうに働いている姿を見て、自分もこうなりたいと思いました」

学生にとっては、大人や働くことへのネガティブなイメージを覆す大きな転換点になっている。

エッジソン・マネジメント2.0 次代を担う若者を産官学連携で育み、活かす方法
『エッジソン・マネジメント2.0 次代を担う若者を産官学連携で育み、活かす方法』(PHP研究所)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

あなたは、周囲の若者に仕事の魅力を語れているだろうか。知らず知らずのうちに、愚痴や不満ばかりを口にしてはいないだろうか。

志ある若者は、自然発生的に生まれるものではない。どこかにいる有望な若者を探し求める「青田買い」ではなく、社会全体で志ある若者を育てていく「青田創り」が必要だ。

その第一歩として、大人一人ひとりが“働くことの希望”を言葉にし、次世代へと伝えていくことが求められている。

次回は、「地方で働きたい」と思いながらも、最終的に都市での就職を選ぶ若者たちについて、その背景にある構造的な問題と解決の方向性を考える。

樫原 洋平 リンクアンドモチベーション エグゼクティブディレクター、一般社団法人『エッジソン・マネジメント協会』代表理事

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かしはら ようへい / Yohei Kashihara

1980年香川県生まれ。一橋大学経済学部卒。2003年に新卒でリンクアンドモチベーション入社。 以来、グローバルメーカー、メガバンク、総合商社、インフラ、ITなど多様な業界の採用・育成コンサルティングに、100社以上従事。また、大阪大学、大阪公立大学で非常勤講師も務めるなど、産官学連携での教育プログラムを開発・実行。中高生から大学生まで、年間6,000人以上の若者に対してキャリア教育・リーダーシップ開発の機会を提供している。早稲田大学 モチベーションサイエンス研究所 招聘研究員。著書に『エッジソン・マネジメント 尖った優秀な若者をどう採用し、いかに育てるか』『エッジソン・マネジメント2.0 次代を担う若者を産官学連携で育み、活かす方法』(ともにPHP研究所)。

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