「楽で、かつ高収入な仕事に就きたい」「働くことは罰ゲーム」 若者たちがそう思ってしまう"根本原因"
次に「表出」では、魅力的に見えるプレゼンを作る。「事実と感情をバランスよく伝える」「起伏のあるストーリーを語る」「仕事をしている場面が目に浮かぶくらいに、具体的に伝える」など、若者を飽きさせない工夫をすることが大切だ。
最後に「評価」では、他者に聞いてもらい、意見を交わして磨き上げる。「しごとーく」では、登壇者が企業の垣根を越えて集まり、事前研修を実施している。互いにアドバイスをし合い、ブラッシュアップを重ねることで、より魅力的なプレゼンが仕上がっていく。
大人側にとっても貴重な成長の機会に
このように準備をして臨めば、登壇者のメッセージは想像以上に学生の心に届く。真剣な大人の言葉に、学生は集中して耳を傾け、目を輝かせ、積極的に質問を投げかけてくる。アンケートでも満足度は高く、登壇者自身も「もう一度話したい」と思えるほど大きな手応えと自己効力感を得られる。
さらに、この経験は大人側にとっても貴重な成長の機会になる。自分の仕事を振り返り、言語化して語る過程は、モチベーションやエンゲージメントの向上、キャリア形成のきっかけにもなる。
こうした取り組みを通じて、学生からは次のような声が寄せられている。
「大人にも、働くことにも失望していました。でも、大人になることに希望を持てました」
「樫原さんや周囲の大人が、40歳を過ぎても楽しそうに働いている姿を見て、自分もこうなりたいと思いました」
学生にとっては、大人や働くことへのネガティブなイメージを覆す大きな転換点になっている。
あなたは、周囲の若者に仕事の魅力を語れているだろうか。知らず知らずのうちに、愚痴や不満ばかりを口にしてはいないだろうか。
志ある若者は、自然発生的に生まれるものではない。どこかにいる有望な若者を探し求める「青田買い」ではなく、社会全体で志ある若者を育てていく「青田創り」が必要だ。
その第一歩として、大人一人ひとりが“働くことの希望”を言葉にし、次世代へと伝えていくことが求められている。
次回は、「地方で働きたい」と思いながらも、最終的に都市での就職を選ぶ若者たちについて、その背景にある構造的な問題と解決の方向性を考える。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら