「唯一無二の量産型」という矛盾を内包する若者 リスクを負わず自分を差別化したい若者の生存戦略
「人材としての質的向上」を求められる一方で、「自身の経験や体験のオリジナリティ」を重視される。令和の職場の若者は、そんな高難易度なことをさせられている。本稿は、若者研究の第一人者である金沢大学教授の金間大介氏の著書『静かに退職する若者たち』を一部抜粋・再構成のうえ、そうしたムリゲーを乗り切るための、若者の戦略をお伝えする。
正解を求める若者が恐れているもの
多くの大学生は3年生になると、ゼミや研究室に属し、調査や実験、グループワークなどを経て卒業論文を執筆することになる。ゼミはいわば、大学生活後半の居場所の1つのようなものだ。そしてそのゼミの担当教員が、いわゆる生涯の恩師となる。教員の中には、民間企業との付き合いを活発に行う人もいて、最近では共同研究を実施している研究室も増えている。
企業からすれば、教授ないしは准教授の下で協力してくれる学生はそれなりに貴重な戦力となる。よって大学へ足を運ぶ際には、手土産を持参するケースも少なくない。
さて、ここからが本題だ。
あるゼミ室に、共同研究を実施している企業のMさんが顔を出し、「こんにちはー。これお土産です。よかったら皆さんで」と、紙袋を持ち上げて見せてくれたとしよう。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ビジネスの人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら