「唯一無二の量産型」という矛盾を内包する若者 リスクを負わず自分を差別化したい若者の生存戦略

拡大
縮小

はい、ここで問題。次の瞬間、何が起こるだろうか? せっかくなので選択肢を用意した。

①「わー、ありがとうございます!」と言って、Mさん(というよりその手土産)にゼミ生が群がる
②ゼミ生の1人が「あ、わざわざすみません。ありがとうございます」と言って、手土産を受け取る
③全員固まる。つまり、ほぼノーリアクション。正確には、本当にリアクションがない人半分と、同級生の方を見たりする人半分

さて、あなたのイメージはどれに近いだろうか?

①をイメージしたあなたは、おそらく社会人の中ではベテラン勢かもしれない。

「若者といえば」というイメージをストレートに反映したのが①になる。

②はいかにも「普通」という感じの状況か。

③は、何というか、ちょっと失礼だ。いや、だいぶ失礼だ。

それでは、今の大学生にとって、最も起こりやすいのはどれか?

答えは③だ。この無礼千万極まりない状況を、実際に僕は何度も目の当たりにしてきた。逆に、手土産を持参した人がよっぽど仲のいい人でない限り、①の状況は発生しない。

なぜ③なのか。

リスクを負わず穏便に済ませたい

仮にその手土産を個包装されたバターサンドだとしよう。ホールケーキやバームクーヘンだと切り分けるのが大変だろうからと、優しいMさんは気を使ってくれた。それでもなお、③の出現頻度は変わらない。それはなぜか。

それは、今の大学生が傍若無人な無礼者でも、常識知らずなわけでもない。学生のバターサンドに対するリアクションが薄い理由、それは「自分が代表して受け取ることが怖い」からだ。

誤解を恐れず、ストレートに表現しよう。この状況において、バターサンドは恐怖の対象でしかない。それはなぜか。

それは、そこに「責任」が発生するからだ。何をバターサンドで大げさな、と思うかもしれないが、それが昨今の若者たちの心理的特徴なのだ。そのバターサンドにどんな深刻な責務が発生するのか、いまいちピンとこない人のために簡単に解説しよう。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT