「楽で、かつ高収入な仕事に就きたい」「働くことは罰ゲーム」 若者たちがそう思ってしまう"根本原因"

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この現状を、このまま放置していてよいのだろうか。これからの社会を支えていくのは、まぎれもなく若者たちである。少子高齢化が進む中、意欲ある若者を育てることは、日本社会にとっての重要課題だ。

こうした状況を招いた原因は、若者ではなく大人の側にある。だからこそ、若者が“働くことに希望を持てる社会”をつくることは、今を生きる私たち大人の責任ではないだろうか。

「ロールモデルと出会う場」を設計する

若者が“働くこと”にネガティブな印象を持ってしまう背景には、前向きな働き方や価値観に触れる機会の少なさがある。だからこそ筆者は、まず「ポジティブな就労観に触れる場」をつくることが必要だと考えた。

特に重視したのは、多様な大人たちと出会い、直接対話できる機会を設計することだ。実際に働いている人のリアルな声を聞き、「そんな考え方で働いているのか」「この人のように働いてみたい」と思ってもらう。そうすれば、自然と自分自身の“働く意味”についても考えるようになる。“憧れられる大人”に若いうちから出会うことが、意欲ある次世代人材を育てる土台になるのだ。

実際に、筆者が代表理事を務める一般社団法人エッジソン・マネジメント協会では、大学や高専などの高等教育機関と連携して「しごとーく」というプログラムを実施している。これは、働く大人が学校を訪れ、自身の仕事内容や働きがい、働く目的を学生に直接語る取り組みだ。

「しごとーく」の様子
「しごとーく」の様子(写真:一般社団法人エッジソン・マネジメント協会)

最初は、大抵の登壇者が「若者に語れるようなことなどないのでは……」と自信がない。日々の仕事の中で「ワクワクする」「面白い」といった感情を表出し、言語化する機会が少ないので、自分自身でも仕事の魅力や醍醐味に気がついていないのだ。しかし、いざ振り返って考えてもらうと、仕事に対する自分なりのこだわりや、内に秘めた情熱に気づく人は少なくない。

しっかり準備さえすれば、ほとんどの人が学生の心を動かすことができる。ポイントは、「内省→表出→評価」のステップで準備することだ。

まずは「内省」によって「自分の仕事にはどのような魅力があるのか」を言語化する。仕事の魅力というものは他者と比較した時にこそ見えてくるものなので、対話の機会を設けると効果的だ。

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