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トランプ大統領は本当に「王」になるかもしれない/議会、裁判所、国民の堕落が「即位」を許す

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10月18日、ワシントンDCではトランプ大統領の権力濫用を批判する「No Kings」抗議活動が行われた(写真:Bloomberg)

「王はいらない」と訴える大規模デモが10月にアメリカ各地で起きた。すると、ドナルド・トランプ大統領は王冠をかぶった自身のAI生成動画を投稿して挑発、その翌日には一転して「私は王ではない」と力強く述べた。トランプは王なのか、王ではないのか、いったいどちらなのか。

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は多くの有力者の論評・分析を配信しています。「グローバルアイ」では、主に同シンジケートのコラムの中から厳選して翻訳・配信しています。

大統領は憲法で定められた重大な権限の行使については刑事訴追からの絶対的な免責を与えられ、その他の公務に関わる行為についても免責が推定される——。連邦最高裁がそのような判断を示してから、大統領の権力拡大に対抗するのは一段と難しくなった。

これを受けて、トランプはすでに王のごとく君臨するようになったとの批判が広まっている。トランプは、独立機関から独立性を奪い、既存のスタッフを忠臣で置き換え、関税などの懲罰手段を気まぐれに振り下ろし、全体として恐怖支配の空気をつくり出している。

支持者が求める「絶対的リーダー」は「中世の王」か?

とはいえ、支持者にしてみれば、このような行動は強くて決断力のある指導者だからにほかならない。

何しろトランプは、前回の大統領選挙を(獲得選挙人の数だけでなく)一般の得票多数で勝利しているのだ。支持者はトランプに、結果を出すべく障壁を次々となぎ倒す辣腕経営者の姿を重ねている。

もちろん、トランプは王の称号を手にしているわけではない。それでも、トランプがやっていることは実際に、過去に王たちが行使してきた権力を思わせる。そうした王の代表格が、中世イギリスのテューダー朝で絶対王政の基礎を築いたヘンリ7世だ。

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