プレミア感のあるチョコ菓子を「64円」で開発・販売!ブラックサンダー「至福のバター」工場に潜入、垣間見えた小規模企業の"サバイバル術"
本社の商談担当も、スーパーなど販売店のバイヤー相手に「リベート的な『販売協賛金』支払い」「販売促進の協力」を提示。見返りとして広告に入れてもらったり、売り上げの良い量販店に営業マン・販売補助員(ヘルパー)・MCのトリオで乗り込んでフェアを開催、店頭を明るくにぎやかしながら、実販を獲っていくそんな大手メーカーを相手に、有楽製菓のような少数精鋭のお菓子メーカーが戦えるのか?
杉田部長に伺った限り、有楽製菓の営業マンは、全国で20人程度。大手企業の営業部門のような動きはできず、同じ舞台に上がる気もないという。
ただ、ブラックサンダーは大手メーカーの商品より明らかに原価をかけているため、「この値段でこの満足感」という商品力は、明らかにある。かつ、100円以下のチョコ菓子市場は売り上げ・利幅とも少なく、参入のうまみがないからか、大手の明治・ロッテは市場に入ってこない。だからこそ、ブラックサンダーが競争に巻き込まれずシェアを取れているのではないか、とのこと。正直な感想だと、「(大手のように)宣伝にお金をかけるなら、ウチは商品(商品力の強化)につぎ込みたい」そうだ。
SNS戦略では他社の追随を許さない
また、SNS戦略に早くから力を入れていたこともあり、いまや公式Xのフォロワーは90万人強。朝に「おはようサンダー!」とつぶやくだけで50万再生されるほどの拡散力があり、広くCMを打つ必要もない。

まとめると「独自の高クオリティ商品で競争に巻き込まれず」「自社で抜群の拡散力があるSNSを持っている」からこそ、ブラックサンダーは激戦のチョコ菓子業界で闘えている、ともいえる。長さ6㎝のブラックサンダーをザクッと頬張れば、大手とは比べるまでもなく零細な有楽製菓が、これまで生き残ってきたノウハウがわかろうというものだ……。
実際に味わえるのは、そんな堅苦しい理屈ではなく、甘さ・満足感だ。記事を読み終わったところで、読んできた内容をすべて放り投げて、「ブラックサンダー」「至福のバター」の甘さに癒やされることをお勧めしたい。「疲れたら糖分補給でリフレッシュ」、このノウハウは、だいたいのビジネス書より役に立つ。
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