プレミア感のあるチョコ菓子を「64円」で開発・販売!ブラックサンダー「至福のバター」工場に潜入、垣間見えた小規模企業の"サバイバル術"
ここで、2020年9月に「至福のバター」が発売された。これまで「手を替え品を替え」状態でバリエーションを増やしていた商品群とは一線を画し、「本っ当においしいチョコバー」をコンセプトにプレミア感・コスパにこだわった「至福のバター」は、その後3年間で出荷本数8000万本を達成するほどの売れ行きを見せたという。


「至福のバター」ヒットで起きた変化
「至福のバター」ヒットは、有楽製菓にどんな効果をもたらしたのか?……まず挙げられるのが「店頭での売り場確保」だという。
絶対的な定番商品である「ブラックサンダー」は、コンビニだと「ゴールデンゾーン」(買い物客の目線が届きやすい高さ80㎝~150㎝)あたりに配置されることが多い。ただ、100円前後のチョコ菓子・チョコバーのゾーンには「チロルチョコ」「セコイヤチョコレート(フルタ製菓)」「スニッカーズ(マースジャパン)」「アンパンマンペロペロチョコ(不二家)」などがひしめき……新フレーバーを作ってもはじき出され、本丸であるブラックサンダーすらも埋没しそうな状況であったという。
しかし、誰が見てもお値段以上のプレミア感があり、口コミでもしっかり評価されているうえに、通常版より1.5倍も単価を稼げる「至福のバター」なら、販売店でもしっかり販売スペース・棚を確保してくれる。
こうして、通常版や「至福のバター」、季節限定・地域限定商品などで、コンビニの陳列棚1スパン(長さ90㎝)を「ブラックサンダー軍団」が制圧する店まで見受けられるようになった。そして、ブラックサンダーがまとめてゴールデンソーンを取るようになると、ライバルが押しやられることに……「至福のバター」のヒットは、「ブラックサンダー軍団」の競争力回復と、売り場確保の起爆剤になったのだ。

また杉田部長によると、ブラックサンダーと商品・パッケージがほぼ同サイズの「ミルクマニア」も「ブラックサンダーの仲間だと思われて同じ棚に収まり、想定の倍ほどの販売を記録している」という。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら