プレミア感のあるチョコ菓子を「64円」で開発・販売!ブラックサンダー「至福のバター」工場に潜入、垣間見えた小規模企業の"サバイバル術"
社員数は少ないものの、コスト・在庫を最小限に抑えるための連携が取れている製造の現場から、「ロッテ」「明治」などの隙間で、年間売り上げ165億円をしっかり獲れる有楽製菓の機動力・したたかさを垣間見た。


この取材日は、2025年9月にリニューアルした「至福のバター」開発を担当した、有楽製菓マーケティング部開発課・関戸彩さんも同席いただき、「至福のバター」のベースとなる食材を試食した。
通常のブラックサンダーにも使われるココアクッキーだけでなく、香り高い全粒粉ビスケット、アーモンドクッキーなどを、自社で製造できることも有楽製菓の強みだ。
また、「至福のバター」リニューアル商品の使用バターを決める際にも、ニュージーランド産、オランダ産などと比較して、味に発酵バターならではの深みがあるフランス産のバター採用を決めたという。開発の工程は地道ではあるものの、「ノウハウを持つ開発部門の社員さんがいる」「自社でほとんどの食材を製造できる」からこそ、お手頃なのにプレミア感あふれる「至福のバター」を製造できている、といっていいだろう。
「至福のバター」はリニューアル前から、不動の主力商品であるブラックサンダーに次ぐポジションを確保している。しかも、有楽製菓・杉田晶洋マーケティング部部長にお話を伺ったところ……「至福のバター」は、一時期の「暗黒期」から、ブラックサンダーを救う役割を果たしたという。
長らく普通に売れていたはずのブラックサンダーに、「暗黒期」があったのか? いろいろお話を伺うと、「至福のバター」は、その後の有楽製菓のあり方を変えるほどの、絶大な影響をもたらしたようだ。
なぜ「至福のバター」はブラックサンダーを救った?有楽製菓に聞く

1994年に発売した「ブラックサンダー」は長らく伸び悩んだものの、2008年の北京五輪で、とある選手が勝負食として持ち込んだことで一躍有名に。2011年の新工場稼働で一気にラインナップを増加させたものの、1商品あたりの売れ行きが伸び悩み、盤石であったはずの「ブラックサンダー」ブランドすら、揺らぎ始めていたという。
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