プレミア感のあるチョコ菓子を「64円」で開発・販売!ブラックサンダー「至福のバター」工場に潜入、垣間見えた小規模企業の"サバイバル術"

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ただ、「至福のバター」は、リッチでプレミア感あふれる味を、たった64円で提供することが最重要課題。ブランド力維持のために、こまめなリニューアルと品質・価格維持を行う開発・製造現場の苦労は、並大抵ではないようだ。

まず「有楽製菓 豊橋夢工場2工場」にお伺いして、「至福のバター」製造・開発の担当者にお話を伺った。

「至福のバター」工場。潜入!中で見えた「弱小お菓子会社の勝ち抜きノウハウ」

工場
焦がしバターを混ぜたチョコが、生地にかけられていく ※通常見学の場合は写真撮影禁止(筆者撮影)
工場
1分間で864個のブラックサンダーをカットできる ※通常見学の場合は写真撮影禁止(筆者撮影)

2024年12月に完成した「豊橋夢工場2工場」でのブラックサンダーの生産能力は、1分で864本、1日最大約70万本。半日の稼働で、工場がある豊橋市の人口(37.2万人)相当、半年で日本の人口相当のブラックサンダーを生産できるという。

にもかかわらず、以前は有人監視・人海戦術で動いていた製造ラインが、以前の6割程度の人員で稼働できるようになったという。ブラックサンダーが新商品開発・リニューアルで攻めの戦略に徹している背景には、低コストで安定生産ができる「『夢工場2工場』の存在」そのものが、強みとなっていることは間違いない。

もうひとつの強みが「マーケティングの力」だ。製造ラインは1日ごとに「この日は『ブラックサンダー』」「この日は『至福のバター』」と生産商品が変わる中、各商品はマーケティング部門で初動売り上げを分析したうえで、「この商品は急ぎ追加生産」「この商品は様子見、しばらく生産しない」といった方針を決めていくという。

有楽製菓のマーケティング部門は、河合辰信・現社長が2011年に立ち上げており、同社のデータマーケティングの歴史は比較的浅い。にもかかわらず、ひととおり市場の動向をつかんで機敏に生産・調整を繰り返すノウハウを得ている。いわば、商品管理とマーケティングが双方の状態を知り、「アクセルとブレーキ」をこまめに踏めている状態だ。

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