「コロナ禍以降に深夜帯で採算が取れなくなり、活路を見いだしたのがランチの時間帯でした。そこで昼営業を続けていくうち、数名で昼飲みをする60歳以上の高齢層がとても多いと判明しました。仕事をリタイアされたような方が、お昼時に来店して、定食に加えて、1~2杯お酒を頼み、夕方あたりに帰っていく。
こうした昼下がりの、客単価2000円前後の客層に鉱脈があると考えました。そこでお昼の時間帯では、ビールやハイボールをお値打ち価格で販売したり、ランチ終わりから夜営業までの中休みを撤廃して通しで営業するうちに、ランチの食事業態と夜の居酒屋業態の垣根が薄くなっていったのです。
そこで、夜の時間帯にも、定食メニューを置いたところかなり好評でした。仕事終わりの1人で訪れたサラリーマンが、定食と生ビール1杯を注文して、会計2000円前後を支払っていく。こうした新たな回遊も顕著で、食事と居酒屋をミックスさせた営業方針が固まっていきました」
飲酒はするが時間帯や行動様式に変化
チムニー取締役常務執行役員の寺脇剛氏は、コロナ禍以降の需要の変化をこう語る。いわば2軒目需要が激減したのは、単に飲酒文化が廃れたわけではなく、居酒屋を訪れる時間帯や人数などの行動様式がズレただけと見る。

実際、居酒屋業態に限らず、ファミレスや喫茶店でも、酒類を提供する業態が増えた。
ファミレス各社では酒類とつまみのセットメニューが提供され、喫茶店プロントでは17時以降をバー形式に転換、吉野家でも缶ビールと牛皿につまみ2品を合わせた「吉呑みセット(税込1100円)」を始めている。昨今の物価高も拍車をかけ、飲食業態が総じて手軽なアルコール提供に乗り出している。
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