「歌舞伎町のコンカフェで開催」「お酒を飲みながらもOK」異色すぎる生け花教室に通う、“意外な生徒たち”の正体

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生け花だけでなく、参加者同士が交流する楽しさも提供しているのだ。もちろん、主宰者である高野さんの表情も生き生きとしている。

歓楽街と生け花の親和性

交流会が始まってから約2時間、3名の生け花が完成した。歓声や拍手を受けながら参加者たちが感想を述べていく。渡邉さんの番が来た。

「いい感じにできたつもりなんですけど、改めて見たら広がりがないなぁ……。花を剣山に刺すとき、気の毒かなと考えちゃって、思い切りできなかったんですよね」(渡邉さん)

そうコメントすると、会場に笑いが起きる。高野さんの講評の後、生け花体験の指導を先に終えた増野さんもやって来て、出来栄えに太鼓判を押す。それを受けて渡邉さんは、「今まで味わったことのない世界だった。今後も通っていきたい」と声を弾ませた。

生け花
渡邉さんたちの作品。背景にシャンパン瓶がずらりと並ぶのも歌舞伎町ならでは(写真:今井康一撮影)

歓楽街と、生け花。一見すると結びつくことが想像できなかったが、考えが変わった。種類の違う花たちが生けられることで、生け花という作品ができあがる。歌舞伎町も、多様な人たちが集まってできている、1つの大きな生け花なのでは、と。

美しい花、派手な花、毒々しい花……自分はどんな花で、この街の中でどんな役割をしているのだろう。そう思いながら、区役所通りの花屋を通り過ぎる。今夜届けられるのであろう、いくつものフラワースタンドが、いつも以上に眩しく見えた気がした。

歌舞伎町
生け花の門戸を広くするため、今度も歌舞伎町で教室を続けていく(写真:今井康一撮影)
肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京都生まれ。ルポルタージュや報道系の記事を主に手掛ける。著書に『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』(青月社)、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)。東京・新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」のオーナーでもある。ライフワークは愛の研究。

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