生け花だけでなく、参加者同士が交流する楽しさも提供しているのだ。もちろん、主宰者である高野さんの表情も生き生きとしている。
歓楽街と生け花の親和性
交流会が始まってから約2時間、3名の生け花が完成した。歓声や拍手を受けながら参加者たちが感想を述べていく。渡邉さんの番が来た。
「いい感じにできたつもりなんですけど、改めて見たら広がりがないなぁ……。花を剣山に刺すとき、気の毒かなと考えちゃって、思い切りできなかったんですよね」(渡邉さん)
そうコメントすると、会場に笑いが起きる。高野さんの講評の後、生け花体験の指導を先に終えた増野さんもやって来て、出来栄えに太鼓判を押す。それを受けて渡邉さんは、「今まで味わったことのない世界だった。今後も通っていきたい」と声を弾ませた。

歓楽街と、生け花。一見すると結びつくことが想像できなかったが、考えが変わった。種類の違う花たちが生けられることで、生け花という作品ができあがる。歌舞伎町も、多様な人たちが集まってできている、1つの大きな生け花なのでは、と。
美しい花、派手な花、毒々しい花……自分はどんな花で、この街の中でどんな役割をしているのだろう。そう思いながら、区役所通りの花屋を通り過ぎる。今夜届けられるのであろう、いくつものフラワースタンドが、いつも以上に眩しく見えた気がした。

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら