「見て、ピカチュウみたいなのがいる!」
「え、可愛い! 一緒に写真撮りたい!」
20時過ぎ、人でごった返す歌舞伎町で、人々の視線が一点に注がれる。ピンク色の体、大きな目、とがった耳の「ぴぱんくぅ」が現れたのだ。手にしたトングを器用に動かし、タバコや空き缶など路上のゴミを拾っていく。
着ぐるみの“中の人”はカリスマミュージシャン
写メを撮る若者たち、ハグを求めるガールズバーの店員、大喜びする外国人などが続々と集まり、歓楽街はたちまちテーマパークに。ぴぱんくぅは人々に応じながら、短い脚をちょこちょこ動かし、歌舞伎町の奥深くへと移動する。街をパトロールする屈強なセキュリティの横を、彼らより大きな丸い体が通り過ぎていく。
「昔から変身願望があったんですよ」と話すのは、ぴぱんくぅの“中の人”KENZIさんだ。「カリスマ」「伝説」などと呼ばれたヴィジュアル系バンド・かまいたち(2017年解散)の元ドラマーであり、現在も2つのバンドで精力的に活動。一方で、アニメや特撮のキャラクターが大好きという面もあり、ぴぱんくぅを作ったのもそんな理由だった。
「オバケのQ太郎とかピカチュウとか、昔から可愛いものが大好きだったんです。僕もキャラクターが欲しいなと思って、ぴぱんくぅを作りました。最初はTシャツとかキーホルダ―とか、グッズを販売していたのですが、自分が入りたいと思うようになって。クラウドファンディングをして、着ぐるみを制作しました」
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